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| 独立型医療保険 高齢者の粗診粗療′恃O |
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原則、七十五歳以上のお年寄りが加入する医療保険を、他の医療保険から独立させて創設する後期高齢者医療保険制度。四月の導入を前に、医療現場などから「高齢者の“粗診粗療”につながりかねない」と心配する声が強くなっている。
全国都道府県議会議長会と全国市議会議長会の調べでは、昨年の九月と十二月の定例会で岩手、福島、長野、富山、滋賀、京都、奈良、和歌山、香川、徳島、高知、鹿児島の計十二府県議会と、全八百六市区議会のうち昨年十二月定例会で九十一市区議会が、制度の凍結や撤回、見直しを求める意見書を採択、政府に提出した。
■負担世代先細り
結局、町村議会も含め五百近い自治体議会が昨年中に反対を表明。開会中の今年三月定例会で反対表明する地方議会も考えるとさらに増える公算が大きい。こんな動きを背景に、民社、共産の野党四党は二月末、衆院に後期高齢者医療制度の廃止案を提出した。ただ小泉政権時代の決定事項だったため、「次期総選挙目当てにすぎない」(厚労省関係者)との冷めた見方も。
制度の創設は、老人保健制度の“破たん”にさかのぼる。厚労省によると老人医療費(100)は公費(47)と他の医療保険の支援(拠出)金(53)で負担していた。ところが増え続ける高齢者に、現役世代の増加が追い付かず、その次の世代は少子化。老人医療費の負担世代が先細りする構造が鮮明になった。
これを前提に厚労省は新たな医療保険制度を設計。高齢者を七十五歳以上の後期と七十四歳〜六十五歳の前期に区分、後期高齢者を他の医療保険から分離。老人医療費を100とした場合、公費50、他の医療保険の支援(拠出)金40、自己負担10にする。
「後期高齢者に自己負担してもらうことで、医療費が上がれば、自分たちの負担する保険料も上がる。そのことがよく分かる制度にした」。厚労省高齢者医療制度施行準備室の土佐和男室長補佐は制度創設の狙いをそう強調する。厚労省の調べでは、〇四年度の後期高齢者一人当たりの医療費は七十七万円。七十四歳以下の一人当たり医療費十六万二千円の四・八倍に上る。
■定額制で抑える
その一方で、“線引き”が、なぜ七十五歳なのか疑問が残る。厚労省は(1)就業者が10%に満たない(2)心身機能が低下し入院者が増える(3)平均年収が低い、などを挙げている。これに対し多くの臨床医は「高齢者に病人が多いのは事実だが、健康状態を七十五歳で一律に区切るのは科学的根拠に乏しい。七十五歳になった途端、病態は変化しない」と指摘する。
制度開始とともに、一人の高齢者担当医(仮称)が後期高齢患者一人を診るのも可能になる。日本医師会は「患者側が医師を自由に選べるフリーアクセスの制限につながる」と反発しているが、厚労省は「高齢者担当医以外の医師にかかっても構わないし、担当医を変更していただいても結構」(高齢者医療制度施行準備室)とかわす。
ただ厚労省は四月の診療報酬改定で、後期高齢者診察料を新設した。慢性疾患を総合的、継続的に診る担当医の診療報酬を月額六百点(六千円)に設定。疾病ごとの出来高払いではなく、包括的な定額制で医療費を抑え込む姿勢を明確にしている。「定額制の診療なら、高額な診断装置を使う検査は不採算覚悟でやらざるを得ない。お年寄りに、そこまでやる医師がどの程度いるか…」。熊本市のベテラン開業医は複雑な胸の内を明かす。
(熊本日日新聞2008年3月12日付夕刊メディカル)
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