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| 救急医療、現場ひっぱく ベッド不足で受け入れ制限も 危機感強める担当者 |
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| 救急車で運ばれた患者を治療する看護師=国立病院機構熊本医療センターの救命救急センター
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重い病気や重傷の患者が、幾つもの救急病院から受け入れを拒まれて、治療が遅れたり死亡したりするケースが全国で相次いでいる。県内では同じ事例は起きていないが、医師や看護師の不足から救急対応をやめたり、ベッドがいっぱいになって患者受け入れを一時的に制限する病院も出ている。「現場はパンク寸前の状態」と、救急医療の担当者は危機感を強めている。(梅野智博)
国立病院機構熊本医療センター(熊本市二の丸)は県内の救急医療の中核病院の一つ。救急車で運ばれるような重症患者を「断らない」ことを方針に掲げている。しかし、現場はギリギリの状態だ。
■「限界に近い」
同病院は救命救急センター三十四床、集中治療室(ICU)六床だけでなく、一般病床四百六十床でも救急患者を受け入れている。それでもベッドが足りないことがある。救命救急センター長の池井聰副院長は「救急に備えて、入院患者さんに毎日転院をお願いして、空きベッドを確保している」と話す。
特に冬場は、脳卒中や肺炎などで入院する人が増える。準備した空きベッドよりも、多くの救急患者が運び込まれることも少なくない。その場合には、救急外来や病棟の処置室に臨時ベッドや機材を運び込み、急場をしのいでいる。「医師や看護師に、かなりの無理を強いている。もう限界に近い」と池井副院長。
熊本市消防局によると、二〇〇三年の救急車出動件数は二万四千五百九件。それが〇七年には二万七千六百五十六件と13%も増えた。同消防局救急課の金子忠明主査(救急救命士)は「高齢化や核家族化が進み、一人暮らしのお年寄りが増えている。出動件数は今後も増え続けるだろう」とみている。
■減る救急病院
その一方で、救急病院の数は減少している。県医療政策総室によると、二十四時間体制で重症の救急患者を受け入れる県内の救急告示病院は〇八年一月現在で六十六施設。六年前の〇二年より十一施設減った。同課は「医師不足のために夜間や休日の診療体制が維持できず、救急告示を返上する医療機関が目立っている」と話す。
医療機関が少ない山間部では、救急患者を熊本市などの遠隔地へ搬送することが常態化している地域もある。患者の「大病院志向」も重なって、熊本赤十字病院(熊本市長嶺南)や済生会熊本病院(同市近見)などではベッドが足りず、患者受け入れを一時的に制限せざるを得ない状態が、この四、五年で目立ち始めているという。
金子主査は「県内の救急医療は危険信号の状態だろう。施設や人材といった限られた医療資源をどう有効活用するのか。今のうちに対策を練っておくべきだと思う」と話している。
●増える軽症患者の利用
救急医療は治療内容によって初期、二次、三次の三つに役割が分かれている。高度な治療を担当する二次、三次の救急病院を軽症の患者が受診するケースが増えており、県は「救急現場が忙しくなる一因になっている」と、休日在宅医など初期救急での受診を呼び掛けている。
初期救急は風邪など比較的軽症の患者を外来で診察する。休日は開業医などの休日在宅医で、休日・夜間は県の指定を受けた救急告示の医院や、熊本地域医療センター(熊本市本荘)と八代市医師会立病院(八代市平山新町)に設置された休日夜間急患センターで受診できる。
二次救急では入院や手術が必要な患者を、地域ごとに当番で対応する輪番病院や、救急告示病院が二十四時間体制で救急治療にあたる。公立病院を中心に七十五施設が担当している。
三次救急は重症患者の救命治療にあたる。県は熊本赤十字病院(熊本市長嶺南)と国立病院機構熊本医療センター(同市二の丸)の救急施設を「救命救急センター」に指定している。
夜間に受診できる医療機関が少なく、軽症の患者が二、三次の救急病院に流れる原因になっている。二〇〇六年度に熊本医療センターで受診した救急患者約一万六千人のうち約六割は軽症患者だった。中には「眠れない」「目がかゆい」など緊急性がない受診もあった。
県医療政策総室は「夜間診療を充実させる必要がある。かかりつけの医院で夜間に受診できる体制づくりなど、各地域の医師会と相談しながら整備したい」と話している。
(熊本日日新聞2008年1月19日付朝刊)
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