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勤務医対策 交代制導入へ国費投入
過密労働で病院勤務医が減って医療現場に悪影響が現れており、厚生労働省は重い腰を上げて対策を打ち始めた。写真は中央合同庁舎5号館の厚労省案内板=千代田区霞が関1丁目、1月撮影
 過重労働が指摘されている病院勤務医の負担軽減のため、厚生労働省が重い腰を上げ始めた。交代制勤務の導入に必要な経費を来年度予算案に概算要求するとともに、来年度診療報酬改定の基本方針で外来縮小に向けた取り組み評価などを打ち出した。

 厚労省の「医師の需給に関する検討会」が昨年七月に作成した報告書は、医師全体の需要と供給は二〇二〇年に均衡するとしている。しかし病院勤務医の数は、入院患者の増加数に追い付かないと、医師不足状態を予測している。

「医療秘書」

 医療の専門化や細分化、それに伴う高度化、IT関連機器を使った業務の増大…。病院勤務医の負担は重くなる一方で、軽くなる気配はみえてこない。この傾向を反映し、勤務医を選択する医師が減り続けている。中でも、これまで地域の基幹医療の担い手だった自治体病院の勤務医不足は深刻。診療科の閉鎖に追い込まれるケースも全国各地で相次いでいる。

 特に病院勤務医の不足がひどいのは産科と小児科。国挙げての「少子高齢化対策」が叫ばれており、皮肉な現象ではある。このため来年度予算案に対する概算要求で、厚労省は産科と小児科に三交代制勤務を導入する経費を盛り込んだ。全国の都道府県で病院一カ所・一診療科で医師一人分の人件費を国費で負担。医師を増員して労働環境の改善を図るという。要求額は四億二千万円を超えている。

 さらに病院勤務医が、医療行為に専念できる環境をつくる狙いで、全国からモデル病院を抽出、「医療秘書」という職員を公費で配置する。医療秘書は、医師にとどまらず看護師の本来業務以外の雑務をこなす。全国では既に導入済みの自治体病院や民間病院もある。

 仕事の内容は、患者のカルテや画像の整理、電子カルテの入力補助、研修医の受け入れ事務、論文作成に必要な資料の作成、銀行振り込みなど多岐にわたる。ただ主に会計を担当する医療事務の職員とは異なるため、人材が育っていないのが実態という。

 開業医が肩代わり

 一方、病院勤務医の負担を診療所の開業医が肩代わりすることが、地域医療の維持、確保につながる、との見方は強い。厚労省は、来春の診療報酬改定を審議する社会保障審議会の医療保険部会に対し、(1)産科のハイリスク分娩(ぶんべん)管理加算の評価拡大(2)診療所の開業医が、初・再診料や入院料などの基本料で、病院勤務医の患者を引き受ける(3)大病院が入院医療の比重を高めるための外来縮小に向けた取り組みの評価などの検討を依頼している。

 開業医が会員の主力である日本医師会(日医、東京都文京区)は「厚労省は、根本的な医療提供体制の在り方を放置し、財政均衡に重点を置いた診療報酬の改定審議には疑問がある」(常勤役員)と主張。〇六年四月の前回改定で診療報酬が引き下げられたこともあり、「地域医療の崩壊を防ぎ、国民の負担を抑えるためにも総医療費を増やすべき。医療費の拡大こそが、病院勤務医の負担を軽くする最も効果的な処方せん」(熊本市医師会の役員)と譲らない構え。

 ただ一方で日医も財政の厳しさは理解している。開業医が“医者仲間”として、どんな形で病院勤務医に協力するのが効果的か、などを探っているという。

(熊本日日新聞2007年12月5日付夕刊メディカル)
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