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| 健診・保健指導プログラム(下)診断基準揺るがす“学説” |
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| たばこが健康に有害と分かっていても、国の禁煙指導は及び腰。街頭に設置された自動販売機は少なくない=熊本市 |
「標準的な健診・保健指導プログラム」のコアである「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(案)」に対し、根底を揺るがしかねない“学説”が海外から飛び込んできた。プログラムがよりどころにしているメタボリック症候群の診断基準が、日本の基準とは食い違っている。
メタボリック症候群の診断基準では、ウエストサイズに最も重要な要素。男性八十五センチ以上、女性九十センチ以上が国内八学会の統一基準。しかし約百六十カ国・地域の糖尿病関連の組織である国際糖尿病連合(IDF)は、男性は九十センチ以上、女性は八十センチ以上という日本人向け基準をつくり、公表した。
■改訂の可能性も
この基準値は他のアジア諸国並み。当然、国内基準を作成した住友病院の松澤祐次院長らは強く反発している。ただ日本人は太らなくても糖尿病になりやすいという事実もあり、一蹴(いっしゅう)もできない。
IDFは二〇〇五年春、人種や地域による違いを考慮し、基準のウエスト値を定めた。その際、日本人は男性八十五センチ、女性九十センチと現在の国内基準と一緒だった。ところが日本以外のアジア諸国は、男性九十センチ、女性八十五センチと男女が逆転していた。このため日本人の基準値の違いが際立ち異論があった。
国内基準値は腹部(へそ下周り)に蓄積した内蔵脂肪の断面積がベースで、断面積百平方センチ以上をメタボリック症候群と判定する。ただCTスキャンによる腹部撮影は簡単にできないため、疫学的にウエストサイズで代用している。その値が男性八十五センチ、女性九十センチ。「男性に厳しく、女性に甘い」という批判が基準値発表当初からあった。
ウエストサイズと内蔵脂肪蓄積との関連ではデータの収集や分析、評価が十分ではないという指摘もあり、基準値改訂の可能性もある。
■禁煙は最高の予防
さらに問題視されているのが喫煙の扱いだ。血糖代謝や脂質代謝、血圧が正常なら、喫煙は単独では生活習慣病の危険因子とみなされていない。このため健診結果は「異常なし」とされ、保健指導はリスクが皆無の人と同様の「情報提供レベル」にとどまる。
健診結果と照らした後、保険者が実施する保健指導でも、喫煙に関して標準的なプログラムは「適切な保健指導を行うよう努める」と表現するにとどめている。
これに対し特定非営利活動(NPO)法人「日本禁煙学会」(東京都新宿区)は、真っ向から異議を申し立てる。同学会などによると、メタボリック症候群の40%以上が、喫煙に起因しているという。
「禁煙は誰もができる簡単かつ最高の病気予防」。医学界では国内外を問わず常識になっている。その予防医学の観点から、同学会は「喫煙をメタボリック症候群の単独危険因子にして禁煙指導を重視し、保健指導の動機づけ支援や積極的支援に組み入れるべきだ」と訴える。
健診を実施し、その結果に基づき保健指導する。健康増進と病気予防が目的なのは論を待たない。ところが禁煙に対しては、健康への深刻な弊害が叫ばれる割には、なぜか国の姿勢が及び腰に映る。
「政府は国民の健康よりたばこの税収が大切なんでしょう。しかし健康が害されると、税収以上の医療費が要りますよ」。複数の呼吸器科の医師は皮肉っぽく指摘する。
(熊本日日新聞2007年7月18日付夕刊) |
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