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政府の医師不足対策 診療報酬アップで歯止め
 小児科や産婦人科の医師不足に歯止めを掛けるため、厚生労働省は二〇〇八年度の診療報酬改定で、この二つの診療科に関係する診療報酬を引き上げる方向で検討に入った。一連の医療制度改革では診療報酬抑制の一本槍(やり)だった厚労省も、わずかながら路線を修正し始めた。


医師の偏在を解消するため、政府・与党内では全国の国公立大医学部に「地域医療枠」を設ける案が浮かんでいる。写真は熊本大医学部=熊本市本荘2丁目
  全国の医師数は年間約三千五百人、約四千人増えているが、地域と診療科目の偏在によって深刻な医師不足のへき地や診療科が顕在化。社会問題化し、七月の参院選の争点の一つになりかねないほど。

 大変深刻な事態

 「医師不足は大変深刻な事態という認識を持っている。この問題は最大限の努力をしていかなければならない」。五月十日の事務次官会議後の記者会見で、厚労省の辻哲夫事務次官は医師偏在の現状を憂慮した。さらに七月の参院選を念頭に、政府・与党も医師不足対策に取り組む姿勢を表明。まとまった具体策は、政府が六月中に決定する「骨太の方針」に盛り込むという。

 その有力案の一つが、医師不足が際立つ小児科医や産婦人科医に支払う診療報酬のアップ。深夜の急患診療や時間外診療の割り増しなどが考えられている。ただ診療報酬は二年ごとの改定のため、〇八年四月まで待たないといけない。

 そこで結婚や出産などで一度リタイアした女性医師の復職が、並行して協議されている。厚労省の調査では〇四年十二月末現在、全医師約二十七万人のうち女性の割合は16・5%。ただ小児科医は31・2%、産婦人科医は21・7%と比率が高い。

 さらに女性医師が年々増加している半面、結婚や出産で離職するケースが少なくない。この構図が、小児科医や産婦人科医の不足要因の一つとされている。この点を改善するため、女性の小児科医や産婦人科医が離職しなくてもいい職場環境を整えたり、再就労しやすい勤務形態にあらためることが検討されている。

 現在、女性医師専用の「人材バンク」は東京都医師会と福岡県医師会の二カ所に開設されているだけで、求人、求職情報がミスマッチしているケースが多いという。このため厚労省が「人材バンク」の増設を支援し、女性医師の復職を後押しする計画も練られている。

 「地域医療枠」

 一方、医師不足や偏在では、政府・与党内で卒業後十年程度はへき地や離島などの医療に従事するのを条件にした「地域医療枠」を、全国の国公立大医学部に新設する案が浮上。地域医療枠は全四十七都道府県別に年五人程度、全国で二百五十人ほどの定員増を見込んでいる。

 ただ医師として現場に出るまでには最短でも六年かかるため、都市圏の国立病院の医師を地方の病院や診療所に一定期間勤務させる仕組みも検討されている。厚労省は大都市圏の病院長に就くには、一定期間のへき地勤務などを条件にする案も検討しているという。

 これに対し日本医師会(日医、東京都文京区)は「医師のへき地勤務は義務付けではなく、インセンティブを与える仕組みを考えるべき」(内田健夫・常任理事)と譲らない。

 抜本的な医師不足解消策として、与党からは「新法が必要」との声も聞こえてくる。しかし厚労省側は「現段階で事務的にはそのような検討はしていない」(辻事務次官)と突き放すのだが…。

 (熊本日日新聞2007年5月23日付夕刊メディカル)
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