くまにち.コム  
3大生活習慣病やこころ、こどもの病気など、最新治療法や先端医療の現状をお伝えします。  
   
ホーム > 読むクスリ > 地域医療一覧 >   
読むクスリ
メール健康相談
休日在宅医 お役立ちリンク
お知らせ
フリーワード検索

     
肥後医育塾
笑顔ヘルCキャンペーン
メディカルネット
デリすぱホームドクターガイド



厚労省の改革資料公表 既成事実化と日医反発
 厚生労働省医療構造改革推進本部(本部長・柳沢伯夫厚労相)の総合企画調整部会が四月、二〇〇六年の医療制度改革関連法案成立後の動きと今後の改革の方向性を盛り込んだ「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について」というタイトルの資料を都道府県職員向け参考資料として公表した。

厚労省が医療制度改革関連資料を都道府県職員向けに参考資料として公表したことに日本医師会は「なし崩し的なやり方」と反発する。写真は日医傘下の熊本県医師会が入る熊本県医師会館=熊本市花畑町
 〇八年四月に本格化する医療制度改革の“本番”を前に、厚労省が基本的な考え方を明らかにし、都道府県側の準備を急がせる狙いがあるとみられる。ただ日本医師会(日医)は「医療のフリーアクセスの制限と国民皆保険制度の形骸(がい)化に直接結び付くような医療費抑制に貫かれた内容」(内田健夫常任理事)として、厚労省のなし崩し的な既成事実化に強く反発している。

 開業医コンビニ化

 「日本の将来の医療提供体制は現在、関係する審議会や検討会などで議論中だ。参考資料とはいえ、正式な資料として公表した厚労省の姿勢はいただけない」。資料公表の一週間後。日医の内田常任理事は東京都文京区の日本医師会館で記者会見し、厚労省を強くけん制した。

 席上、内田常任理事は(1)高齢者人口の増加を踏まえ、医療従事者数と病床を増やす(2)医師、医療資源の集約化は、地域特性に配慮して慎重に(3)医師のへき地勤務は義務付けでなく、インセンティブを与える仕組みに(4)急性期病院の勤務医の負担増は、国の医療費抑制が原因になっており、解消には医療費を増やす(5)個別の医療機関に特定の機能や役割を固定させず、一般病床の平均在院日数の短縮や病床削減は止める(6)在宅主治医制の導入はフリーアクセスを阻害する―などと指摘した。

 さらに患者に対する医師の二十四時間対応は「十分な評価は重要」としながらも、「一般的に開業医のコンビニ化が求められることは地域医療の疲弊を招き荒廃につながる」と予測する。

 在宅主治医制

 特に在宅主治医制の導入には「明確な反対」を打ち出している。高齢者など長期療養が必要な患者には、患者が“かかりつけ医”の中から在宅主治医を選択。その主治医が、患者の再入院や退院時のケアカンファレンス(療養会議)で中心的役割をする仕組みだ。

 この在宅主治医は、英国の家庭医(GP)制度と似ている。英国では都会なら徒歩二十分ほどの範囲にいる医師の中から「家庭医」を選んで登録、風邪など普段の病気は家庭医に診てもらう。高度な医療を手掛ける専門医を受診する場合は、家庭医が「必要」と認めない限り、受診できないように法律で定められている。

 この点が日本と決定的に異なる。日本は“かかりつけ医”の紹介がなくても、「特定療養費」という特別料金を支払えば、だれでも自由に大学病院や有名な大病院を受診できる。これが「フリーアクセス」と呼ばる由縁だ。

 世界に誇るべき制度だが、“弊害”も少なくない。近くの開業医でも治療できるような病気で大学病院を受診し、結果として「三時間待ちの三分診療」を惹起(じゃっき)している。また勤務医の負担増を助長しているとの指摘もある。

 日医は基本的な医療政策を描いた『グランドデザイン200』の総論を発表。現在、厚労省参考資料に対する各論の策定を進めているという。対案の作成は在宅主治医制度一つとっても容易ではない。

 (熊本日日新聞2007年5月9日付夕刊メディカル)
※ この記事へのご意見、ご感想をお寄せください。あて先は iryou@kumanichi.co.jp

 
  無断転載は禁じます。
掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun
  (c) 熊本日日新聞社 〒860-8506 熊本市世安町172