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県内医師ら「医療崩壊」でシンポ 勤務医の過密労働に危機感
 夜間当直明けの勤務や二十四時間の待機など、医療機関で働く勤務医の過密な労働環境が全国的に問題化している。県保険医協会(吉住眞会長、三千四百人)はこのほど、熊本市で「医療崩壊―勤務医からのメッセージ」と題したシンポジウムを開催。救急外来などの第一線で働く医師たちが、厳しい勤務実態について語った。

医療崩壊をテーマに県内の医師らが参加したシンポジウム=熊本市
 医師、看護師ら約八十人が参加。パネリストは県内基幹病院の医師ら八人で、同協会が実施した勤務医労働環境アンケート(有効回答二百六十三人)の結果も公表した。

「もう限界」

 済生会熊本病院の副島秀久副院長が「一週間で八十時間も働いている若い勤務医も多い。私たちは国民の医療を支えるという責任感で頑張ってきたが、もう限界だ」とあいさつ。

 まず、夜間の救急医療の現状について、熊本赤十字病院の田代尊久医師が「救急外来は医師七人体制。一日に百六十人ほどの患者が来る。半分が夜間としても八十人。一般診療科の医師は当直明けでも仕事に入ることも多い。とてもつらそうだ」と話した。

 同病院に勤務していたはまゆう療育園(天草郡苓北町)の星出龍志医師は「インフルエンザの流行期には夜間だけで二百人を超える患者が来ていた。対応するだけで精いっぱいだった」という。

 熊本大付属病院の医師は診療のほか、研究と教育にも携わる。長時間の勤務は日常的という。総合診療部の早野恵子医師は「朝七時半から午後五時半まで学生を指導した後、自分の研究をする。勤務時間は一日十四時間ぐらい。土日に出勤することもあり、週に七〜八十時間になる。かつて勤務した病院では(夜間の呼び出しに備え)二十四時間の緊張が続き、とてもストレスが大きかった」と述べた。

先進国中最低

 アンケートでは二百二人(77%)が「体力や時間的に厳しい」と答え、「適当」の五十七人(22%)を大きく上回り「余裕がある」はわずか四人。改善策は大半が「医師の人員増」を求めた。

 日本の医師数は人口千人あたり一・九人。先進七カ国中で最も少なく、経済協力開発機構(OECD)加盟三十カ国中でも二十七番目。一方で、一人の医師が担当する外来診療数は年間八千四百二十一回。OECD平均の約三・五倍になる。

 そのほか、複数主治医制、看護師など医療従事者の不足、開業医との連携、女性医師の現場復帰支援などについても意見を交わした。会場の医師からは、増大する患者の不満や注文、医療訴訟のリスクに対する不安の声も挙がった。

 最後に熊本中央病院の古瀬昭夫医師が「勤務医が疲弊し、日本の医療は崩壊しつつある。安全と質を守るためには、医療費や医療従事者を増やすことが必要だと国民に訴えていきたい」とまとめた。(梅野智博)
 
 (熊本日日新聞2007年5月5日付朝刊)
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