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| ADHD治療に有効な「リタリン」 規制強化で処方されず |
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一部の医師の不適正な処方や乱用問題をきっかけに、規制が強化された向精神薬「リタリン」。これまで注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬としても広く使われてきたが、適応症の限定や流通管理の厳格化により患者は処方を受けられなくなった。18歳未満の子ども向けには同成分の「コンサータ」が承認されたが、大人の患者は置き去りにされた格好だ。
「本当に使えなくなるのか」「国に要望書を出してほしい」。昨年九月、リタリン規制強化の動きが伝わると、ADHD患者を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「えじそんくらぶ」には、不安を訴える電話やメールが殺到した。
「小児の多くは、その後すぐに発売されたコンサータに移行したが、大人の患者の不安は今も解消されていない」と、自身もリタリン服用経験がある高山恵子代表。
リタリンは約七十カ国で販売され、睡眠障害の一種「ナルコレプシー」とADHDで使用が認められている。ところが日本では、海外では例のない「うつ病」が適応とされる一方、ADHDは適応外だった。このため医師は、診断名をうつ病として保険が認められるように処方したり、病名はADHDのまま適応外処方を行ったりしてきた。
■集中力低下
だが、一連の問題でうつ病の適応が削除され、ナルコレプシーに限定された。さらに登録した医師や薬局・医療機関以外は処方や調剤ができなくなった。以前処方されたリタリンがまだ残っている患者もいるが、既に底をついた人は深刻だ。
高山さんによると、小学校に勤める四十代の女性教師は、集中力の低下で生徒指導やテストの採点、車の運転がうまくできなくなった。いらいらして、わが子に上手に接することができなくなった女性もいるという。
「能力があるのに薬がなくて働けないのは社会的損失。問題なのは乱用を助長した医師。薬ではない。恩恵を受ける人の存在を忘れないでほしい」と高山さんは訴える。
■流通量激減
発達障害に詳しい杉山登志郎・あいち小児保健医療総合センター保健センター長も「流通管理厳格化には賛成だが、ADHDに使えないのは問題だ」と語る。「ADHDに対するリタリンの有効性は科学的に明らか。国も容認姿勢だったのに、急転直下、禁止の方向に変わった。何が起きたのか分からない」とも。
製造販売元ノバルティスファーマの川音聡・薬事部長は「ADHDに使える道を残す、残さないという議論は社内でもあった。ただ、もともと適応外なので、何もしようがなかった」と言う。
同社によると、管理厳格化以降のリタリン流通量は、月単位で昨年のほぼ十分の一に激減した。一方で、インターネットには依然「リタリン売ります」の文字が躍る。「今やるべきは、早く流通を正しい姿に戻すことだ」と川音さんは話す。
国内では、リタリンなどとは異なる作用の「アトモキセチン」が小児用として承認申請され、成人での治験も進行中だ。薬を本当に必要とする患者のために、コンサータの年齢制限解除や、さらなる新薬の早期承認が望まれている。
(熊本日日新聞2008年7月5日付朝刊)
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