3大生活習慣病やこころ、こどもの病気など、最新治療法や先端医療の現状をお伝えします。
ホーム
>
読むクスリ
>
くすり
>
・
肥後医育塾
・
笑顔ヘルCキャンペーン
・
メディカルネット
・
デリすぱホームドクターガイド
家庭の薬、洗剤、農薬 誤飲や中毒防ごう
薬などの誤飲や中毒を防ぐには、市民も正しい管理や使用法の知識を身につけることが必要だ=熊本市の病院
熊本市の熊本赤十字病院で二十一日深夜に起きた有毒ガス発生は、あらためて身近にある農薬の危険性を認識させた。家庭で使われる医薬品や洗剤、園芸用の農薬なども管理や使用法を誤ると、重大な結果を招くことになる。乳幼児や認知症のお年寄りなどの誤飲や中毒を防ぐため、正しい知識が必要だ。
農薬などの化学物質のうち、毒性の強い毒物、劇物は、毒劇物取締法に基づき、鍵のかかる保管庫で管理しなければならない。同日の有毒ガス発生の原因物質クロロピクリンは、医薬用外劇物に指定されている農薬だ。
■
厳しい規制なし
農薬には厳重な管理義務があっても、家庭にある洗剤や化粧品、殺虫剤、薬などには、厳しい規制はない。しかし、どれも中毒や事故の原因になり得る。
日本中毒情報センターに二〇〇六年に寄せられた中毒事案は約二万九千八百件(県内からは二百四十件)。原因となった物質の内訳は、家庭用品が63・2%、医薬品が25・7%と、この二つで九割を占めた。五歳以下の子どもが、家庭用品や医薬品を誤飲・誤食したケースは合わせて約二万七百件に上った。
特に危険なのが強い酸性、アルカリ性の洗剤や塩素系の漂白剤など。誤用すると、有毒ガスが発生し、本人だけでなく周囲も巻き込む。製品には「まぜるな危険」などと明記され、消費者に警告している。
救急法を指導する日赤県支部事業推進課の東博子講習係長は「医薬品や殺虫剤などは、きちんと保管場所を決めること。食品を入れる所には、置いてはならない」と話す。坐薬を冷蔵庫に保管し、誤って家族が食べた例もあるという。
薬などは瓶や箱の形だけでは中身が分かりにくいため、ラベルをはがすのは禁物。中身を別の容器に移し替えるのも事故につながる。
薬を飲む際は、注意書きをよく読んで正しい分量や方法、目的を守るのが基本。暗がりでの服薬も間違いのもとだ。「病院や薬局で調剤してもらった薬は、飲む必要がなくなったら捨てた方がよい。薬の飲み残しを後日使ったり、人にやるのもいけない」と東係長。
■
まず整理整頓
乳幼児の誤飲は、親が少し目を離したすきに起こりやすい。最も多いのが、硬貨やボタン電池、たばこ。さらに夏場は蚊取りマットなどもある。
トイレットペーパーの芯の太さ(約四センチ)より小さい物は、赤ちゃんの口に入ってしまう。県小児科医会長の後藤善隆医師は「飲み込む可能性がある物は子どもの手が届かない所に置くように。日ごろから整理整頓が大切」と呼びかける。
園芸用の農薬を使う場合は周囲への気配りが必要だ。熊本市のホームセンターサンコー本山店の松田俊裕副店長は「周辺の住宅地などに飛散しないよう、風の強い日は避けてください」。暑くなると農薬のにおいが強くなるため、早朝や涼しい時を選ぶ。マスクを必ず着けて眼鏡や帽子、長そで、長ズボンで体への付着を避ける。
■
すぐに救急車を
気をつけていても、誤飲などで中毒を起こした場合は・・・。熊本市消防局救急課の金子忠明主幹は「誤飲のときは、救急車をすぐに呼ぶのが原則。十分な設備がある医療機関で、毒物、異物を体から取り除くことが先決です」と話す。
「どんな異物をいつ、どれだけ飲んだかが医師や救急隊が一番知りたい情報。分かればすぐに伝えてほしい」。自殺目的の場合、本人が言う物質名が正しいとは限らないため、残された瓶、空き箱などから確認が必要な場合もあるという。残った量は飲んだ量の手がかりになる。
「飲んだ物の種類によって、吐かせたり、水を飲ませるなどの処置がある。だが、一般の人が対応するのは実際には難しい」。救急隊は誤飲の場合、無理には吐かせないという。吐かせると、窒息のリスクが伴い、水などを飲ませると化学反応を起こして刺激を起こす物質もある。金子主幹は「ただ、本人自ら吐いているときは、詰まらせないように注意しながら吐かせた方がよい」と話す。
家庭の内外で起きる誤飲や中毒を防ぐには、赤ちゃんやお年寄りの目線で、身の回りをしっかり点検し直すことが大切だ。万一の場合でも慌てずに対処したい。(高本文明)
◇中毒110番・電話サービス 財団法人日本中毒情報センターの「中毒110番」は、化学物質(たばこ、家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などで起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に限定して情報提供している。大阪(電)072(727)2499(毎日24時間)、つくば(電)029(852)9999(毎日午前9時〜午後9時) たばこ専用電話(電)072(726)9922=テープによる情報提供、毎日24時間。いずれも一般向け、無料(医師、医療機関が中毒110番を利用した場合は有料)。
(熊本日日新聞2008年5月26日付朝刊)
※ この記事へのご意見、ご感想をお寄せください。あて先は
iryou@kumanichi.co.jp
無断転載は禁じます。
掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun
(c) 熊本日日新聞社 〒860-8506 熊本市世安町172