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偽造医薬品 世界で横行
ED治療薬など国内に流入 大きな危険潜むネット販売
 偽造医薬品が世界的に横行している。国内にも男性の勃起(ぼっき)不全(ED)治療薬などの偽物が流入し、真正品の製薬各社は対策に懸命だ。偽造医薬品は企業の知的財産権を侵害するだけでなく、健康被害をもたらす恐れがある。インターネットなど、正規の流通ルート以外での購入には、大きな危険が潜んでいる。

死者も多数

 「日本や欧米先進国では、偽造医薬品は医薬品全体の売り上げの1%未満だが、途上国では10%から30%。死亡を含む健康被害の事例も多発している。二〇一〇年には世界全体で10%に達するという米国のシンクタンクの予測もある」と、金沢大大学院の木村和子教授(国際保健薬学)は偽物のまん延を指摘する。

 有効成分が十分に含まれているものや不十分なもの、異なる成分や無成分のものなど偽物もさまざまだが、世界保健機関(WHO)の定義では、故意や詐欺目的で成分や出所・起源について虚偽表示があれば、すべて偽造品とみなされる。

 有効成分が不十分だと治療効果が得られず症状が悪化する。不純物が死を招くこともある。自動車の不凍液に使われる有害物質を含んだ偽造せき止めシロップにより、海外で多数の死者が出たのはその典型だ。

半分以上が偽物

 「真正品の信用を失墜させて企業の利益を損ない、医療不信を生む。組織犯罪の資金源になる恐れもある」と木村教授。医薬品の規制システムがない途上国では、非合法市場だけでなく、正規ルートにまで偽物が入り込んでいるという。

 では、日本はどうだろう。木村教授は「正規ルートは国の規制がしっかりしている。危ないのはインターネット。ネット販売では50%以上が偽物というWHOの調査結果もある」と警告する。最大の問題は、医師の処方が必要な薬であるにもかかわらず、ネットを通じた個人輸入が後を絶たない「バイアグラ」などのED治療薬だ。

 〇六年から〇七年にかけて、ED治療薬の製造三社が相次いで偽造品の輸入差し止めを全国の税関に申し立て、受理された。差し止めた偽物は没収・廃棄が可能で、水際での阻止が期待できる。

 ファイザーによると、〇六年五月の受理以降、百六十九件、十二万三千錠余りの偽バイアグラが税関で押収された。同様にバイエルの「レビトラ」や日本イーライリリーの「シアリス」でも差し止めが増えつつある。しかし、こうした監視をすり抜けて出回るケースも多いという。

安全疑っても

 日本イーライリリーが昨年、自身を「EDだと思う」または「EDと疑ったことがある」成人男性約千人に調査した結果では、ネット販売されるED治療薬の半分以上が偽物と考える人は77%、安全だと確信している人はごく少数だったのに、58%もの人がネットで購入したいと回答した。最も多かった理由は「人に知られないから」。微妙な患者心理に、偽造品がつけ込んだ格好だ。

 現在、WHOを中心に国際的な対策検討が進んでいるが、木村教授は「日本では、医療機関や薬局など、確かな所から入手するのが最良の防衛策」と話している。


 (熊本日日新聞2008年4月5日付朝刊)
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