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市販風邪薬の上手な使い方 “気軽に飲める”は誤解
県薬剤師会が発行している「くまもと健康手帳」(通称・お薬手帳)
 風邪をひいて、市販薬を利用する場合も少なくない。市販薬には医療用と同じ成分を含んだものが多く、よく効く一方で、選び方、飲み方を誤ると思わぬ副作用に遭うリスクもある。上手に使うポイントは。

 県薬剤師会・医薬情報センター(熊本市)によると、市販の風邪薬は二〇〇七年九月現在、約九百四十種類にも上る。広く使われている総合感冒薬では、一般に解熱、鎮痛、消炎、せき止め、鼻水止めなど各種の有効成分を組み合わせてある。

▼10〜20種程度

 医師は患者の症状に合わせて薬を処方するのが一般的だが、医療用の総合感冒薬として代表的な「PL顆粒」の成分は四種類にすぎない。

 しかし、市販薬には十〜二十種類程度を配合したものもあり、必ずしも患者の症状に合うとは限らないという。同センター薬剤師の松波裕子さんは「市販の風邪薬を飲んで、治ったと感じるのは、多くの成分のうち、どれかが効いたということ。ほかの成分は実際は要らない場合もあります」と話す。

 風邪をひいても、発熱、せき、鼻水などの症状が段階的に現れ、一度に出るのはまれ。せきがないのにせき止めなど、必要がない成分を飲むことにもなる。最も深刻な場合は、全身に炎症が現れ、皮膚や粘膜がただれるスティーブンス・ジョンソン症候群のような重大な被害も起きかねないという。

 「市販薬を買う場合、きちんと薬剤師に相談し、適切に選んでほしい。『市販の薬は医師が処方する医療用に比べ弱いから大丈夫、気軽に飲める』という誤解が一般的にあるようです。妊娠中、授乳中の女性などは特に気をつけてください」と松波さん。

▼生薬に副作用も

 持病がある人が飲んではいけない薬や飲み合わせにも、注意が必要。ある種の抗ヒスタミン剤や鼻炎用剤は、前立腺肥大の患者に排尿障害を、緑内障患者には眼圧上昇を起こすことがある。解熱鎮痛剤の中には、糖尿病薬と併用すると、低血糖を招く場合も。

 一般に副作用がないと思われている生薬製剤などでも、過信は禁物。例えば、せき止め成分の「麻黄」(エフェドリン)。葛根湯(かっこんとう)などに含まれるが、血圧上昇作用があり、高血圧患者には向かない。

 薬を飲む前には、必ず添付文書の注意書きを読む習慣を身に付けたい。注意を守らず副作用被害が起きた場合は、医薬品医療機器総合機構による救済制度の対象にならない。

▼お薬手帳の活用を

 医師・薬剤師に相談する際には、自分の症状をうまく伝えることが大切。「何日前からどういう症状があり、どのように変わり、今はどんな症状か。特に何日前から症状があるのかが大事」と松波さん。ほかの薬を飲んでいないか、体に合わない薬があったかどうかも忘れずに伝えたい。

 県薬剤師会は「くまもと健康手帳」(通称・お薬手帳)の普及に努めている。病院や薬局で薬を受け取る際に、記入してもらい、これまで自分に処方された薬の記録を残しておける。

 松波さんは「かかりつけの薬局を持って、飲み合わせや副作用、アレルギーのチェックもしてもらいましょう。自分自身の健康情報をきちんと管理していくことができます」と話している。(高本文明)

●薬の飲み方ポイント

 薬を飲むときに注意すべき点を県薬剤師会・医薬情報センター(熊本市)に教えてもらった。

 【水か白湯で】決められた薬の量を決められた時に、コップ半分から一杯程度の水か、ぬるめの

白湯(さゆ)で飲むのが原則。薄めのお茶でも構わないが、アルコールは、薬の作用を強め過ぎる場合があるため、必ず避ける。

 【牛乳やジュースは?】抗生物質などの中には、牛乳のカルシウムと結びついて、薬の構造が変わり、成分の吸収が妨げられ、効き目が落ちるものがある。酸性度が高いジュースなども、徐々に溶けるように工夫されている薬の溶け具合や、薬の効果に影響する場合がある。

 【錠剤やカプセル】多めの水できちんと胃に流し込む。食道にくっついて潰瘍(かいよう)を起こすことがあるため。

 【飲み忘れたら?】気づいて間もなければ、すぐ飲み、次の服用時間を少し遅らせる。気づくのが遅かった場合は、二回分を一緒に飲まず、一回抜くようにする。

 また、症状が改善されないのに漫然と飲み続けるのは禁物。医師、薬剤師に必ず相談した方がいい。

 ※同センター(電)096(351)5333。



(熊本日日新聞2008年1月12日付朝刊)
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