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ドラッグ・ラグ(4)個人輸入「自己責任」で
海外とのドラッグ・ラグ解消のため、舛添要一・厚労相は「米国並みのスピードで新薬を承認する」と答弁したのだが…。=参院予算委
 海外では標準治療薬として使われている薬剤が、国内では未承認薬のままだと、不正輸入が増える。背景には、インターネットの急速な普及がある。

 ただ製薬会社を通じた正規ルートの輸入ではないため、薬剤の品質が劣る場合もある。悪質なケースでは偽造品をつかまされる。当然、承認薬を服用した被害者を救う公的な健康被害者救済制度の対象にもならず、被害者は泣き寝入りを強いられる。

偽造品で死亡も  

 医薬品や化粧品などの製造から販売までを規制する薬事法は、医療用医薬品を販売目的で輸入することを禁じている。しかし患者や主治医が、治療目的で輸入するのは認めており、代わりに「自己責任」を求めている。

 ところが、個人輸入の容認を“逆手”に取って、輸入を代行する業者が増え続けている。患者個人の代理人として輸入し、不特定多数への販売を目的にしていない、という。

 インターネットを開くと、こんな代行輸入業者の広告が氾濫(はんらん)し、扱う医薬品の種類も増加の一途だ。販売される薬の数と種類が、海外と国内の「ドラッグ・ラグ」の実態を映し出す鏡のようだ。ネットなどを使った輸入医薬品の増加と、それを服用した健康被害者は比例して増えている。

 よく耳にするのが男性の勃起(ぼっき)不全(ED)治療薬や育毛剤といった生活改善薬でのトラブル。ED治療薬は、米ファイザー社の「バイアグラ」が“代名詞”的な存在だが、偽造品を服用して死亡した男性もいる。同社の日本法人(東京都渋谷区)は、自社のウェブサイトで注意を喚起する一方、全国各地の税関にバイアグラの輸入差し止めを申し立てている。偽造品の輸入を水際で防ぐのが狙いだが、かいくぐって国内で出回る“バイアグラ”の数量は、どこもつかんでいない。

延命、生死分ける 

 個人輸入は負の部分ばかりではない。薬剤が国内未承認の場合、個人輸入が患者の延命や生死を分ける例もある。このため厚労省は、代替治療法がないなど、やむを得ない患者に限って、未承認薬の使用を認める方向で検討を進めている。米国やEU(欧州連合)の「コンパッショネート・ユース(人道的な使用)制度」が参考だ。

 米国では治験の枠組みの中の制度、EUでは治験とは別の制度。“日本版”は米国と同様、国内で治験段階まで進んでいる未承認薬の使用が有力視されている。

 対象者は、代替薬剤が承認申請する前の最終段階である第3相臨床試験(治験)に組み込まれなかった患者、第3相臨床試験に組み込まれ、終了後に承認待ちの患者などが想定されている。

 しかし国内で使用可能な医薬品は承認薬に限るという原則を堅持するため、副作用被害者を救う公的救済制度からは除外。投薬に伴う費用も、患者自身が負担する方向に傾いている。

 患者が気になる医療保険は、投薬に関連する部分を除き適用するか、すべての医療行為を不適用にするか、で意見が分かれているという。

 日本版コンパッショネート・ユース制度の創設後は、未承認薬は製薬会社が正規ルートで輸入する。患者は品質が均一な薬剤の安定的な供給が望める。その一方、事実上野放し状態になっている生活改善薬を含む医薬品の個人輸入は、医師を除き、国内未承認薬の例外的な使用と引き換えの形で制限される公算が大きい。

 (熊本日日新聞2007年10月31日付夕刊メディカル)
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