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広がる「禁煙保険治療」 成功率4割適用拡大に課題
 禁煙の治療に保険が適用されてから四月で一年。全国四千三百余の医療施設で保険による治療が可能となり、中央社会保険医療協議会(中医協)に提出された調査結果では、治療を受けた人の四割が禁煙に成功している。三月に神戸で開催された日本循環器学会で、禁煙治療の現状と課題が報告された。

 「期待通り」

 「禁煙成功率四割は、ほぼ期待通り」と山口昭彦鹿児島大講師は評価する。保険適用の際に、効果を検証するため治療終了後の禁煙率を調査することになり、三月の中医協で三千八百八人の患者調査が報告された。

 治療終了から三カ月後の禁煙継続率は39・9%。治療は通常二週間ごとに計五回まで行うが、治療を受けた回数が多いほど禁煙継続率が高く、最後の五回を終了したグループでは59・0%に達している。

 保険による禁煙治療には、いくつかの条件がある。まず一日の喫煙本数と喫煙年数をかけた数字(ブリンクマン指数)が二百以上、例えば一日一箱(二十本)なら十年、十本なら二十年以上吸い続けていること。さらにニコチン依存度を調べる十項目の問診票で「ニコチン依存症」かどうかを診断する。

 約1万2千円

 ニコチン依存症と診断されても、その場で禁煙を始めるわけではない。医師が個別の喫煙状況に応じた禁煙指導やアドバイスをし、禁煙治療薬の使い方を説明。次の休日など、患者にとって都合のよい日を禁煙開始日に決める。

 薬はおなかや腕などに張り付けて、ニコチンを皮膚からゆっくり吸収させる「ニコチンパッチ」が主に使われる。

 体内のニコチンが急に減るとイライラ、頭痛などの「離脱症状」が表れるため、ニコチンパッチで離脱症状を抑える。ニコチンパッチの大きさを段階的に小さくしていき、なくても平気になれば禁煙成功だ。

 この間、二週間ごとに禁煙指導のカウンセリングを受ける。計五回の治療で自己負担三割の場合、治療費は一万二千円程度になる。

 若者に不利?

 治療薬では製薬会社ファイザーが昨年六月、経口薬「バレニクリン」を厚生労働省に承認申請しており、承認されれば薬の選択肢が増える。

 大阪府立健康科学センター健康生活推進部の中村正和部長は「保険の適用を広げるのが今後の課題」と指摘した。若い人ほど喫煙期間が短いのでブリンクマン指数が二百以上にならず、保険での治療ができない。また保険で禁煙治療を受けて喫煙を再開した場合、次の禁煙治療は最初の治療から一年後からでないと保険が使えない。

 施設の問題もある。保険での治療には敷地内禁煙、呼気中の一酸化炭素濃度測定器を備えているなどの条件があるが、大きな病院ほど敷地内禁煙が進んでいない傾向があるようだ。

 日本禁煙学会は、ホームページ(http://www.nosmoke55.jp)で保険が使える施設を都道府県別に紹介。県内は四十二施設を掲載している。

(熊本日日新聞2007年4月14日付くらし面)

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