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| マウスピースでいびき治療 舌を持ち上げ気道確保
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鏡の前で口を大きく開けて、のどちんこ(口蓋垂=こうがいすい)がはっきり見えない人はいびきがひどいことが多い。就寝中に呼吸停止を繰り返す睡眠時無呼吸症候群(SAS)の心配すらある。そんな悩み解消に、歯科医が開発したマウスピース型の装具が役立っている。
■万病の元
いびきは、空気の通り道となる鼻からのどにかけての上気道が狭くなって起きる睡眠呼吸障害。原因は肥満やへんとう肥大、アデノイド、上気道の筋力低下などさまざま。杏林大病院耳鼻咽喉(いんこう)科の長谷川誠教授は「特に舌が太ると、あおむけに寝た際に重力で舌の根元が下がり、気道を圧迫する」という。
毎晩のようにいびきをかく状態が、習慣性いびき症。症状が進むと上気道抵抗症候群となり、眠りが浅くなって疲労感や集中力低下を訴えるようになる。さらに悪化し、気道が完全に詰まるとSAS。就寝中に首を絞められるような状態だ。高血圧や心臓疾患、脳血管障害などにつながったり、眠気や集中力低下で思わぬ事故を起こしたりと、命にかかわる。
■SASは200万人
医学的には、十秒以上の呼吸停止が一晩に三十回以上か、一時間に五回以上ならSASと診断される。呼吸中枢障害が原因の場合もあるが、大半はこの閉塞(へいそく)型。いびき症の日本人は約二千万人、その10%はSASとされる。無呼吸が三分近くも続いたり、無呼吸発作が一晩で数百回に上る人もいる。
治療には耳鼻咽喉科や呼吸器内科、精神神経科など多くの診療科がかかわる。肥満などの原因疾患の治療が第一で、さらに口蓋垂などの切除手術もあるが、効果がない場合もあるという。
重症者の治療に広く使われるのが、圧力をかけた空気を鼻から送り込み、気道を広げる呼吸装置。ただ口内乾燥などの不快感を感じる人が少なくなく、70%が使用を中断するとのデータもある。軽症では保険適用されないため、数十万円の自己負担を求められる。
■手軽で安全
そんな中、埼玉県越谷市の開業医、中川健三・歯科医師がマウスピース型の装具「スリープスプリント」を開発。一九八六(昭和六十一)年以降、全国で千人以上に使われ効果を上げている。
「私自身がひどいSASで、睡魔のため医療事故を起こしそうになったほど。手術も効果がなく、必要に迫られ母校の東京医科歯科大の専門医と相談しながら開発した」と中川医師。
就寝時につけると下あごが数ミリ前に移動する。舌も前に出るため沈下せず、気道が確保される。中川医師によると、使用初日から快眠できる人が多く、そうでなくても微調整で対応可能という。
二〇〇〇年に実施した患者調査では、回答した二百六十五人の77%が使用を続けていた。中断者も半数以上が二年以上使用し、中断理由は肥満解消による自然治癒が十二人と最も多かった。
ほぼ半日で製作可能だが、保険適用外のため六万円要る。ただ(1)十八歳以上で歯が二十本以上ある(2)鼻呼吸ができるなどの制約がある。
開発に協力した長谷川教授は「非常に有効な治療法で、大きな合併症は確認されておらず安全性も高い。しかし鼻が原因のいびきには効果がない」と言っている。
(熊本日日新聞2002年6月11日付夕刊) |
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