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不妊…県内でも治療体制 体外受精や専門外来 生殖補助広がる
 望んでも赤ちゃんができないカップルのための不妊治療。専門性の高い治療だが、体外受精や専門外来など県内の医療機関でも治療体制が整備されてきた。治療費の公的負担も検討され、県内では3町村が支援制度を設けている。

顕微鏡で体外受精させる専用の部屋はクリーンルームになっている=熊本市新町の福田病院
 不妊治療は、ここ15年の間に、人工授精や体外受精、腹腔(ふくくう)鏡による検査・治療など飛躍的に進歩してきた。大学病院などに限られていた高度な生殖補助医療(ART)も、一般病院に広がってきた。精子と卵子を体外で受精させ受精卵を子宮に移植する体外受精は、1978(昭和53)年に英国で成功し、日本でも80年半ばから飛躍的に普及。現在は年間約1万人の赤ちゃんが生まれているという。

 民間病院も導入

 県内では87年に熊本大付属病院(熊本市本荘)でスタート。現在は同病院以外に、福田病院(熊本市新町)、伊井産婦人科病院(同大江本町)、森川病院(同水前寺)、片岡レディスクリニック(八代市)、熊本労災病院(同)などの民間病院も取り組む。

 福田病院は3年前に不妊専用外来を2階フロアに独立させ、医師、看護師、検査技師の9人でARTチームを組み対応している。「プライバシーを重視すると同時に、すべての検査・治療を同じフロアですることでスタッフ間や患者さんとのコミュニケーションをとりやすくした」と同病院。

 「エンブリオロジスト」と呼ばれる体外受精の専門技師を2人配置、治療の説明を徹底させるために専門のコーディネーターも置いた。看護師主任の山口ひとみさんは「期待を持ったり、落ち込んだり、患者さんのストレスや不安は大きい。一つひとつの検査・治療を納得した上で受けてもらえるよう、心掛けている」と話す。

 伊井産婦人科病院も不妊専用外来を設置し、専任の医師と看護師が対応する。福田病院、熊本労災病院とともに、顕微鏡下で卵子の中に精子を直接注入し受精させる顕微受精も取り入れている。「体外受精は他の治療で効果が上がらない場合に提案しているが、患者さんのニーズでもある」と河野哲郎副院長。

 片岡レディスクリニックの片岡明生院長は「転々と病院めぐりをする人を何とかしたかった」と導入理由を明かす。妊娠できても流産や早産を繰り返す「不育症」治療にも力を入れる。「不妊治療は長期戦。診療時間や相談体制など個人病院ならではの小回りの良さを生かしたい」と話す。

 大きい経済負担

 ただ不妊治療は、長期に及び、人工授精や体外受精など保険が適用されない治療もあるため経済的な負担も大きい。体外受精を選べば、一般的に数十万から百万単位の出費が必要になるといわれる。だが、少子化を背景に治療費の公的負担の動きが出てきた。

 熊本県はまだだが、九州では9月から大分県と佐賀県がART治療に限って、年間10万円を限度(2年間)に個人への助成金制度を始めた。県内の市町村では、阿蘇郡南小国町、白水村、長陽村が、結婚1年以上で子どものいない夫婦を対象に、年間10〜20万円の上限で治療費を負担する制度を設けている。白水村は12年度から実施しているが、利用者はこれまでにわずか1組。桐原夏雄村長は「保健師などを通じて気軽に利用してもらえる環境をつくっていきたい」と話す。

 (熊本日日新聞2003年10月8日付朝刊くらし面)

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