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不登校摂食障害自傷行為… SOS受け止めて
「だからあなたも生きぬいて」著者 弁護士・大平光代さん訴え
 「不登校や摂食障害は、傷付いた子どもたちが発信するSOS信号。きちんと受け止めて」。“極道の妻”から転身を遂げ、現在は非行少年の更生や不登校の子どもの支援に奔走する弁護士の大平光代さん(37)=大阪市=が、このほど講演のため来熊、いじめで苦しむ子どもと真剣に向き合うことの大切さを訴えた。

「悩む子どもの心に寄り添い、励まし、時には厳しくしかりながらも居場所を与える大人が必要」と語る弁護士の大平光代さん=熊本市水前寺公園の熊本テルサ
 大平さんは中2の時いじめに遭い、割腹自殺を図る。その後非行に走り、16歳で「居場所を求めて」暴力団組長と結婚するが離婚。22歳の時、養父との出会いをきっかけに再出発を決意。中卒のハンディを猛勉強で乗り越え、29歳で司法試験に一発合格を果たす。壮絶な経歴をつづった自伝「だから、あなたも生きぬいて」(講談社刊)は2000(平成12)年の初版から32刷を重ね、210万部を超すベストセラーに。

 「非行少年はだれも、生まれた時から非行少年だったわけではない。周りの大人に傷付けられ、その積み重ねで非行に走ってしまう」と言う大平さんは今、不登校の子の支援に力を入れている。相談を受けた子は面談を経て、メールのやり取りに進む。メールは1日50通。時間を掛けてじっくりと子どもの思いを聞き出し、解決の方策を探る。

 「非行少年の多くが、いじめが原因で学校に行けない時期を経験している。この時期にしっかりと向き合う大人がいれば、その子の将来は変わっていく」。事件を起こしたり、薬物を濫(らん)用したりするところまで進んでしまうと、再出発は一層難しくなる。その前に、何とかできないか。数々の少年審判を担当して、そう実感している。

 不登校、摂食障害、リストカット(自傷行為)、家庭内暴力…。いじめで苦しむ子どもたちは、言葉以外の行動で必死に周囲の大人にSOSサインを送る。「そんな子に『いじめくらい乗り切れないでどうする。強くなれ』と“正論”で迫れば、追い詰めて居場所を奪ってしまう。まずその子の苦しみを理解しようとすることから始めてほしい」

 「子どもが何も話してくれないから、どうしていいか分からない」と、多くの親が戸惑っている。「普段話をしないのに、何か問題が起きた時にだけ打ち明けるわけがない。幼いころから親子で交わす、何気ない会話の積み重ねが大切だと思う。だから、幼稚園の保護者などに話をする時は、『1日30分でいい。食事の時はテレビを消して、子どもの話を聞いて』と言います。親が話を聞いてくれるうれしさが子どもの心に残っていれば、いざという時にも話せるはずだから」

 割腹自殺を図った際の傷は、内臓まで達した。背中一面に彫った入れ墨は、皮膚呼吸を妨げる。全身の痛みを服薬で抑えて日々奔走するのは、「私のような苦しみを、絶対に味わってほしくない」との強い思いからだ。大平さんは講演を、「人生には、つらいことや苦しいこと、悲しいことがある。だけど、自ら命を断ったり、道を外れることで解決しようとしないで。つらい思いをバネに、前向きに生きてほしい」と結んだ。

 講演会場は約900人の聴衆で埋まり、若者や親子連れの姿も目立った。「無償の愛で子どもを支えること。親の役割をあらためて考えさせられました」。娘(17)に誘われて来たという熊本市の主婦(48)は、自らに言い聞かせるように語った。

 (熊本日日新聞2003年5月1日付朝刊くらし面)

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