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赤ちゃんのタッチケア 心身の発育へ好影響
 赤ちゃんと目を合わせ、話しかけながら優しくマッサージする「タッチケア」。米国で未熟児ケアとして始まったが、健常児の育児としても普及している。赤ちゃんの体重増加や夜泣き軽減などの睡眠障害の改善だけでなく、母親の心理にも好影響を与えるという。

 親子関係の確立

 早産で生まれた未熟児は、母子関係の確立に大切な出産直後の時期を、保育器の中で独りで過ごすのを余儀なくされる。

  「一〇〇〇グラム未満で生まれた赤ちゃんは、三カ月は保育器の中などで入院します。『退院後に抱いてもわが子という実感がない』と訴えるお母さんがいますが、それも当然です」。愛育病院(東京都港区)の山口規容子・名誉院長はそう話す。

  こうした育児不安の問題に対処するため、米国ではさまざまな親子のスキンシップ策が考えられている。

 保育器の赤ちゃんを両手で包み込む「ホールディング」。裸にした赤ちゃんを裸の胸で抱く「カンガルーケア」。タッチケアは、その後に位置する。

 この手法を開発した米マイアミ医科大のティファニー・フィールド博士は、妊娠三十六週以下、出生体重一五〇〇グラム以下の新生児四十人をタッチケアをする群としない群に分けて比較した。

 その結果、タッチケア群は一日の体重増加が47%多く、入院日数は六日短かった。退院後の親子関係の確立がスムーズになる効果も確認された。

  心身が活性化

 マッサージによって親子双方のストレスが減り落ち着く。また親子の心の通い合いも強くなる。当然、健常児にも効果がある。

 米ブラウン医科大が睡眠障害のある九〜十五カ月の幼児を対象に実施した同様の実験では、タッチケア群の一晩の睡眠時間は平均三十二分、継続して眠る時間も平均八十四分長くなり、夜中に起きる回数も減った。

 見つめ合い、語りかけながら赤ちゃんの全身の素肌を順番にしっかりなでる。その刺激が血管や筋肉、脳に伝わり、心身が活性化するという。ゆったりと楽しい雰囲気で試みることが重要で、空腹時や授乳直後は避ける。赤ちゃんが嫌がる部分はしなくてもよい。

 国内では日本タッチケア研究会が一九九八年に設立された。研究会を支援する米ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人(東京都千代田区)が二〇〇〇年から講習会を定期的に開催、延べ千組の親子が参加した。

  お父さんにも

 〇五年十二月、同社本社ビルで開かれた講習会には七組の母子が参加した。「『寝付きがよくなる』と過度の期待をしないでください。母子の関係をつくるのが目的です」。指導する助産師さんの声を背に、お母さんたちはマットに寝たわが子の肌に手を走らせた。

 愛育病院でも未熟児の場合、NICU(新生児集中治療室)にいる間はカンガルーケア、ある程度大きくなったらタッチケア、健常児も出産直後はカンガルー、一カ月ころからタッチと、二つを組み合わせている。

 タッチケアの指導日は月三回設けているが、希望者が多く応じきれない状態だ。

 NICUを持つ病院のほとんどはカンガルーケアをしているが、指導スタッフの育成が必要なタッチケアの普及はいま一歩という。

 「タッチは難しいことではなく、自然なこと。赤ちゃんに触れてあげるだけでもいい。親子の愛着形成をつくる出発点でスムーズに親子にしてくれる。お父さんにもぜひやってほしい」。山口名誉院長は強調する。

 日本タッチケア研究会(電)03(3721)1695(受け付けは平日午前10時〜午後4時)。ウェブサイトはhttp://www.touchcare.jp

 (熊本日日新聞2006年2月1日付夕刊)

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