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鼻水、せきのない乳幼児の高熱 注意を!

 乳幼児が高熱を出した場合、膀胱(ぼうこう)尿管逆流症(VUR)ではないかと疑ってみる必要がある。膀胱にたまった尿が逆流する病気で、腎臓に達し炎症が起きると、震えを伴うような高熱が出る。炎症を何度も繰り返すと腎臓に障害が残ることもある。

膀胱尿管逆流症の3歳児を診断する熊本中央病院小児科部長の古瀬昭夫医師=熊本市田井島
 県北の会社員Aさんの二男(2つ)が、最初に発症したのは生後6カ月の時だった。突然40度前後の高熱が出た。「季節の変わり目なので風邪かと思った」とAさん。翌日、小児科医に診てもらったら「尿に多くの細菌が混じっている。VURの可能性がある」と言われた。点滴や抗生剤を処方してもらい、発熱は5日後に落ち着いた。医師からは膀胱のレントゲン検査を勧められた。

 VURは、膀胱の両側に付いている「弁」が生まれつき不完全なため起こる。おしっこを我慢したり、おなかに強く力を入れると、尿が尿管や腎臓へ逆流する。「乳幼児の100人に1人はVUR」ともいわれる。

 尿の逆流そのものでは発熱はしない。「膀胱は本来無菌。しかし、たまに排せつ器や尿道を通って細菌が入り込む」と熊本中央病院小児科部長の古瀬昭夫医師。細菌を含んだ尿が逆流すると腎臓の炎症・腎盂(う)腎炎になって高熱が出る。

 尿の逆流は「弁」の手術をすれば大半は治る。また、4、5歳になると抵抗力がついて発熱しなくなることも多い。「弁」の働きが自然回復することもある。腎盂腎炎は、インフルエンザや咽頭(いんとう)炎などと症状が似ており、素人には区別が難しい。それらの感染症には流行期があるので、時季外れの高熱には注意が必要だ。

 「第一線の小児科医は常にVURを意識して診療している。腎盂腎炎は鼻水、せきなどの呼吸器症状がないのが特徴だ。掛かり付けの医師ならば、そんな変化を見逃さない」と古瀬医師。

 VURをきちんと診断するにはレントゲン検査が必要。膀胱に造影剤を入れ放尿する瞬間を撮影する。弁の不具合や逆流の程度が分かる。

 Aさんの息子はVURと診断された。レントゲン写真には「腎臓に近いところまで(尿の逆流を示す)造影剤の影が写っていた」(Aさん)。

 逆流した尿の圧力で腎臓が大きく膨らむなどの重たい病状でなければ、炎症を抑える抗生剤を飲みながら様子をみる。ただ、高熱を繰り返すと炎症の跡が硬化して、腎機能の低下や腎不全になることもある。そんな危険がある場合は医師は手術を勧める。「完成された手術なので、安全性が非常に高い」(古瀬医師)からだ。

 Aさんは、息子のちょっとした発熱にも敏感になった。ただ、「おしっこを我慢したらだめ」と言い過ぎないようにしている。「委縮させるのは子供の成長に良くない」と思うからだ。

 つい最近、2回目の高熱が出た。「高熱で耳が聞こえが悪くなることもあるらしい。やっぱり怖い」とAさん。手術すべきかどうか「医師とよく話し合って、最後は家族で決めたい」と話した。(梅野智博)

  (熊本日日新聞2006年6月7日付朝刊くらし面)

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