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性急な移行 早くも混乱 はしか・風しん予防接種
 4月から麻しん(はしか)と風しんの予防接種制度が大幅に変わる。これまで、それぞれ1回だった接種回数を「より高い免疫効果が期待できる2回接種に切り替えるため」(厚生労働省)だが、制度変更の仕組みが複雑で、医療現場の一部では混乱が生じている。また、小児科医から「制度切り替えが性急で、接種漏れの乳幼児が放置される恐れがある」との声も上がっている。

ワクチンの注射を受ける幼児
=熊本市楠の医院
 現在は、麻しんと風しんの単独ワクチンをそれぞれ1回ずつ、生後1年から7歳半までの間に接種している。「生ワクチン」と呼ばれるウイルスを弱毒化したものを投与、乳幼児期に1回接種すれば免疫効果が一生続くとも考えられていた。

 しかし最近、免疫が数年後に低下する場合があることが分かった。このため、厚労省は新年度から単独ワクチンをやめ、麻しんと風しんを合わせた混合ワクチンを2回接種する制度に変える。接種年齢も1回目を1歳の誕生日から1年間、2回目を小学校入学前の1年間と細かく区切った。

 1月下旬、水俣市で麻しんワクチンを、既に接種を終えている5歳男児に再度接種するミスが起きた。2月末にも鹿本郡植木町で同様の事例があった。どちらも保護者や医師が「混合ワクチン切り替え後の2回接種」を「現状で2回接種」と勘違いしたのが原因だった。

 さらに、熊本市小児科医会事務局の原口洋吾医師(50)は「これまでに予防接種を忘れていたなど、接種漏れの子どもに対する配慮が欠けている」と批判する。

 どんな子どもが不利益を被るのか。熊本市保健所によると、2歳以上の幼児がワクチン未接種だと、次の「小学校入学の1年前」まで待たなければならない。最悪だと約4年間も感染のリスクを背負うことになる。さらに、麻しんか風しんの片方だけを接種した子どもは、その後の混合ワクチンの接種対象そのものから外された。厚労省は「単独ワクチンを接種した人に混合ワクチンを打つと、どういう反応がでるか確認できていないから」と説明する。

 ただし、制度適用外でも任意接種は受けられる。医療保険の対象外となるので保護者の負担は8400円前後。4日、熊本市内の医院に子どもの風しんワクチン接種に訪れた母親は「今受けないと有料になると聞きました。接種にお金が掛かると、どうしても放置しがちになる」と話した。

 麻しんが原因による死亡は2000(平成12)年以降、全国で合計50人を超える。脳障害など深刻な後遺症が残るケースもある。一方、風しんは妊娠時に患うと胎児への影響が懸念されている。ただ、厚労省は熊本市のワクチン接種率95%超を例に挙げ「なんら問題のない数字と考えている。(麻しん、風しんの)まん延は十分に予防できる」との見方だ。

 現場の医師らは、現行制度を3月で打ち切る国の制度改正方法に不信感をいだく。ワクチンに詳しい県内の小児科医は「単独ワクチンを接種した人に混合ワクチンを打つと被害が出るという証拠はどこにもない。そもそも移行期間がないことがおかしい。単独と混合を選択できる期間を1年間ほど設けていれば、問題は起きなかった」と首をかしげた。

 県や市町村、医師団体は、住民に制度の変更を理解してもらおうと懸命で、「今月中にワクチン接種を済ませて」と呼び掛けている。

  (熊本日日新聞2006年3月8日付朝刊)

  (→→「麻しん、風しんの予防接種 受ける時期、よく考えて」へ)
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