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発達障害 療育体制に課題 城南町が「5歳児健診」
城南町が2006年度、試行的に実施した5歳児健康調査の1こま。スタッフが打ち合わせをしている
 発達障害の子どもを早期発見し、就学前の療育に生かそうと、下益城郡城南町が二〇〇七年度、県内で初めて取り組んだ「五歳児健診」。見過ごされやすい障害の発見につながったが、その後の療育体制の整備や深刻な専門医不足など、課題が浮き彫りになっている。

 健診は町内の五歳児全員を対象にし、90%の百十二人が受診した。うち七人(受診者の6%)を「発達障害の疑い」とし、県こども総合療育センター(宇城市)などの医療機関を紹介。ほかに二十一人(19%)を「経過を観察していく必要がある」と判断した。

●意識の向上

 町が健診を始めたのは、就学前の子どもに早めに「療育」の機会を与えるためだ。通常の健診は一歳半と三歳児に行われるが、これらは身体の発育チェックが中心。精神的な成長の差が見えにくい時期で、発達障害の発見は難しいとされる。障害が見過ごされたまま入学し、集団生活の中で不登校や睡眠障害などの二次障害を受ける子もいる。「療育」は専門家の手助けを借りながら、親子でまず障害の特性を理解し、社会生活へ向けた準備をする。

 町は〇六年度に試行的な五歳児健康調査を実施。健診方法を検討したうえで、〇七年度の実施に踏み切った。事前に保護者と幼・保育園にそれぞれ調査票を配り、園を通じて回収。ほとんどの子どもは町内の園に通っており、園と町の保健師が緊密に連絡をとった。その過程で発達障害についての認識が高まり、健診後も親子のケアに生かされているという

●順番待ち

 浮かんだ課題の一つは療育の受け皿不足だ。県内の療育は、県こども総合療育センターや市町村の地域療育センター(県内十カ所)などで行っている。だが、受け入れ人数には限界があり、すぐ利用できる状況にはないという。ある地域センターは「どこもパンク状態」と話す。

 専門医も不足している。医師らによると、発達障害の概念が広がったこともあって、診療ニーズが高まるにつれ、専門医不足は深刻になっている。例えば、県こども総合療育センターで新たに診察を受けようとすると、順番待ちの期間を含め、診断までに四カ月ほどかかるという。

 文部科学省の〇二年調査では、小中学校の通常学級の子どもの6%に発達障害の可能性があった。城南町は「診断と療育の時間を考えると五歳児健診でも遅すぎる。三歳児検診を三歳半にずらし、内容を充実させることも検討したい」と言う。

●親のケア

 健診結果を聞いた親の中には、事実を受け入れられないケースもある。町は「保護者と子どもに継続的にかかわっていく必要がある」と話し、健診後も保健師がなるべく保育園などを訪問するようにしているという。

 〇六年度の試行的な健康調査に基づき、昨年は町内小学校と「引き継ぎ」の会合も持った。だが学校側の担当者によっては発達障害の理解に温度差があり、障害の特性についての情報などがうまく伝わらないこともあったという。

 県自閉症協会の山下誠一副会長は、療育充実のためのスタッフ養成を訴えたうえで、「ぜひ(他の市町村も)五歳児健診を実施してほしい」と話している。(農孝生)

 (熊本日日新聞2008年4月14日付朝刊)
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