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乳児の神経芽細胞腫 集団検診で死亡率半減  厚労省研究班分析
  国が乳児を対象に一九八四年から実施し、「明確な根拠がない」として二〇〇四年に中止した神経芽細胞腫の集団検診について、過去のデータを分析した厚生労働省研究班(主任研究者・檜山英三広島大教授)が「検診で死亡率が半減した」とする研究結果をまとめ、英医学誌ランセット電子版に四日発表した。

 神経芽細胞腫は最も多い小児がんの一種。自然消滅する例も多いが、悪性化して死亡することもあり、日本は生後六カ月で尿中の物質を調べる無料検診を実施していた。

 ただ欧米の研究で検診による死亡率減少に疑問が示され、良性がんの子どもが無用な手術などを受ける“過剰診断”の懸念もあり中止された。

 研究班は今回、良性に比べ悪性がんの発症が遅く、検診時期を一歳半にすれば過剰診断を減らせると指摘。厚労省はこれに対し「専門家の間に慎重な意見が根強く、集団検診の再開は当面考えていない」としている。

 研究班は、集団検診が始まる前の八〇〜八三年と、実施後の八六〜九八年の乳児データ計約二千二百万人分で発症や死亡例を調べた。

 その結果、実施前に十万人当たり五・三八人だった死亡率が、精度が高い検査法が導入された九〇年以降は同二・八三人に半減していた。うち受診者は同二・一九人だが、非受診者は同四・七九人と高かった。

 研究班は早期発見による治療効果とみている。検診時期は「良性がんが減って悪性がんが現れ始める一歳半ごろが適当」と結論づけた。

 国の集団検診は中止されたが、自治体レベルでは札幌市と京都府が無料の一歳半検診を続けている。

検診再開は難しい判断

 神経芽細胞腫の死亡率が乳児の集団検診で半減したとの研究結果が出たが、厚生労働省は検診再開に否定的な立場。良性がんの子どもが無用な治療を受ける危険も否定できず、再開には難しい判断が伴いそうだ。

 独自に一歳半検診を無料実施している札幌市や京都府は「悪性がんが進行前に見つかる」と検診効果を評価。財政的理由などで三月に無料検診をやめた大阪府も「効果はあった」と認める。新潟県や静岡県など、親が希望すれば有料で検査を受けられる地域もある。

 がん統計の専門家は「死亡率の減少が確かめられた意味は大きい」とする一方、「過剰診断による患者リスクは無視できない。集団検診の再開にはさらに明確な根拠が必要だ」と指摘する。

 一方、小児がんの患者団体関係者は「論争が続いている微妙なテーマなので今は何も言えない」と複雑な様子だ。

◆神経芽細胞腫 子どもの固形がんでは脳腫瘍(しゅよう)に次いで多く、7千〜1万人に1人が発症する。98%が6歳までに病気となり、年間約200人の患者が出る。主に副腎や神経節に生じ、多くは自然治癒するが、悪性化すると骨に転移して死亡することがある。早期発見できれば手術や抗がん剤で治療が可能。乳児の尿中のカテコラミン代謝物を調べる検診手法がある。

 
 (熊本日日新聞2008年4月4日付夕刊)
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