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朝起きられない子供たち 「起立性調節障害」疑って
「病気」周囲の理解大切
起立性調節障害の検査の様子(プライバシー保護のためシャツの模様は消してあります)
  朝起きられない、立ちくらみがする、といった症状があるのに受診しても異常がない。こんな子供は起立性調節障害(OD)を疑ってみて、と日本小児心身医学会が呼び掛けている。不登校を伴う場合もあるが「怠けているのではなく病気。気の持ちようだけでは治らない」と理解することが治療の鍵という。

 ODは、ドイツの医師が一九五〇年代に報告した。食欲不振や頭痛などさまざまな症状が午前中に強く現れ、午後は回復、夜は元気になり眠れないことが多い。天候や季節により症状の程度が違うこともあり、約半数に不登校が伴うとされる。

■脳血流が低下

 原因は、自律神経の働きやバランスが悪くなり、起きたり立ったりしたときに脳などへの血流が低下、血圧が下がるため。遺伝的な体質やストレスが影響するという。

 ただ、一般の診察や検査では異常は見つけにくい。二〇〇六年九月、医師向けにODの診療指針をまとめた同医学会作業グループ長の田中英高大阪医大准教授(小児科学)は「受診しても、気のせいとか精神的な問題と言われることもある。怠け癖や夜更かし、学校嫌いのせいだと思うかもしれませんが、体の病気です」と説明する。

 患者は推定で中学生の約一割、女子にやや多「。小学校高学年から増え中学で急増することから、思春期の体の変化が関係するとみられている。

■家のそばで寝た

 大阪府に住む高校一年の少年(15)に症状が出始めたのは、小学四年のころ。起きられず週の約半分は遅刻、休みも増えた。家族にランドセルと一緒に放り出され、家のそばで寝たこともある。中学では母親と呼び出され、生活指導を受けた。

 病院を転々とした後、中学一年の後半にODと分かり、現在も治療中。診断がつかなかった当時を「体がしんどかったが、サボりぐせみたいに見られるのは仕方ないかな、とも思っていた。周りに理解されず苦しかった」と振り返った。

 ODと診断されるのは(1)立った際に一時的に下がる血圧の回復に二十五秒以上かかる(2)立ったときの心拍数が一分間に百十五以上か立つ前より三十五以上増える(3)起立中に突然血圧が下がり意識の低下、消失が起きる、などの場合。

 さらに、心理面の関与を調べるため、問診で保護者や本人に「学校を休むと軽くなる」「気に掛かっていることを言われると悪化する」ことなどがあるか尋ねる。

■数カ月で改善も

 治療で優先するのは、本人や保護者がODをよく知ること。まず不安を軽くするためだ。

 日常生活ではゆっくり立ち、血圧低下を招く暑い場所を避ける。自律神経の働きを損なうので日中は体を横にせず、散歩など軽い運動も有効。血圧が下がるのを防ぐ薬物療法もある。

 軽症だと数カ月以内に改善する。生活に支障がある中等症の回復率は一年後で約50%、二〜三年後では70〜80%。不登校がある重症例では一年後の復学率は約30%で、社会復帰には少なくとも二〜三年かかるという。

 学校の理解、連携も必要になるため、同医学会は学校への指針普及にも取り組んでいる。

 田中准教授は「保護者は病気を受け入れ、子供を信じ見守ることが重要。ODと分からないまま困っている子供は多いと思う。早期の受診が早期治療につながる」と話す。

 ODの診療医療機関は、低血圧サポートグループのホームページ(http://www.inphs.gr.jp/)を参考に、としている。

(熊本日日新聞2007年8月11日付朝刊)
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