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| 子供のAD/HD(注意欠陥・多動性障害)の代表的な治療薬2剤、承認申請 |
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何かに押されているように動き回る、落ち着きがない、物事に集中できないといった症状を特徴とするAD/HD(注意欠陥・多動性障害)。脳の器質的、機能的な障害が原因とみられる行動障害の一つだが、周囲から「わがままで身勝手な子供」と受け取られ、親の育て方やしつけが悪いと批判されることも少なくない。
AD/HDは、一般的には行動調整療法と薬物療法を組み合わせて治療する。国内にはAD/HDへの適応を持つ薬剤が一つもないが、海外では既に発売されているAD/HD治療薬のうち、06年4月に「コンサータ」、07年6月には「ストラテラ」という代表的治療薬2剤が、厚生労働省に製造販売を承認申請された。
■ 有効時間を12時間に延長、「コンサータ」 ■
先行している「コンサータ」は、脳内の神経伝達物質であるドパミンとノルアドレナリンの神経端末(シナプス)への再取り込みを阻害する中枢神経刺激薬。米ジョンソンエンドジョンソングループのヤンセンファーマ社が開発した。
薬剤の有効成分は塩酸メチルフェニデートといい、成分自体はAD/HDへの有効性と安全性が確認されている。しかし乱用や漫然と長期服用によって幻覚や妄想が出たり、耐性が生じて薬物依存症になる可能性がある。
塩酸メチルフェニデートは、今もスイス・ノバルティス社が「リタリン」という商品名でナルコレプシー(居眠り病)や難治性うつ病の治療薬として販売している。
この薬をAD/HD患者に投与すると、症状が高い確率で改善されるため、米国では、医師に「リタリン」の投与を求める教師やAD/HDとみられる子供の保護者も少なくなかった。国内では一種から三種に分類される向精神薬のうち最も危険性の高い一種に区分されている。ところが、そう快感や幸福感が得られたり、「ダイエットにいい」といった誤った使われ方をするケースもあり、インターネットを使った販売や医師の不正処方などが摘発されている。
ヤンセンファーマ社は、この塩酸メチルフェニデートを消化管の中で成分が徐々に放出するように工夫し、有効時間をおよそ12時間に延長させた。これが「コンサータ」だ。「リタリン」と成分は一緒だが、薬効の現れ方を変えている。
■ SNRIと似た作用機序 「ストラテラ」 ■
一方、同じ脳内の神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの神経端末への再取り込みは阻害するものの、ドパミンにはほとんど作用しない非中枢神経刺激薬も登場した。米イーライリリー社の塩酸アトモキセチン(商品名ストラテラ)で、SNRI(選択的ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害剤)と呼ばれる抗うつ薬に作用機序が似ている。
効き方がマイルドで安全性は高いが、その分、「コンサータ」のような@切れ味A(即効性)は期待できない。また抗うつ薬が共通して持つ自殺したいという気持ちが起こる場合もあるという。
■ 国内の成人有病率1〜3% ■
日本では05年春、発達障害者基本法が施行された。今年4月には特別支援教育体制下で発達障害の子供たちに対する具体的な支援策が芽吹いた。
文部科学省が02年に実施した調査によると、行動面で授業を受けるのに著しい困難がみられる学童の割合は全国平均で6%程度と報告されている。1クラスに1〜2人はそれらの学童がいる計算になり、AD/HDの子供もその中に含まれる。
さらに子供のころの症状が大人になっても残る成人のAD/HDの有病率は全国平均1〜3%とみられている。
ヤンセンファーマ社によると、「コンサータ」は06年度、世界30カ国以上で発売され、売上高は9億3000万ドル。「ストラテラ」は、日本イーライリリー社の調べでは世界55カ国で販売され、売上高は06年度で5億7900万ドル。(南里秀之)
(くまにちコム「健康・医療」2007年7月25日付)
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