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感染症予防に威力 地域別情報やアドバイスも
医師、保育園…幅広く活用 県の発生動向調査30年
乳幼児の鼻水などをふき取った後、保育士は手の消毒を励行している=熊本市立本荘保育園
  インフルエンザや感染性胃腸炎など、主な感染症の流行状況を伝える県の「感染症発生動向調査」が今年で三十年目を迎えた。単なる患者数の速報ではなく、地域別の状況や予防のワンポイントアドバイスも盛り込まれ、「診断や予防に役立つ」と、医療や保育の現場などで活用されている。

 天草市諏訪町の本渡はまゆう保育園では、インフルエンザの流行状況をクラス便りに掲載して、保護者への注意喚起に利用している。「県の感染症情報を参考にしている。地元だけでなく、近隣地域の状況も分かるので助かる」と横山隆弘園長。保護者とは「近くでインフルエンザがはやってますね」「天草はまだ大丈夫みたい」などと話題に上るという。

 接種の参考

 医師の診察にも役立てられている。熊本市琴平、ことひらクリニックの服部愛子副院長(小児科)は「どんな病気がどこで流行しているかという情報は、診察する上でとても大切」と話す。

 二〇〇六年から〇七年にかけての冬は、手足口病やヘルパンギーナの患者数が例年よりも多かった。「通常は夏場に多い病気なのに、この冬は不思議と多かった。その傾向が早めに分かっていたので、それらの病気に注意しながら診察することができた」という。

 予防接種の優先順位を決める参考にもなる。もし、県内で麻疹(ましん)患者が出れば、ポリオなどは後回しにして、麻疹のワクチン接種を急いだ方がよい。「今年は東京や大阪などで麻疹が増えているという。近いうちに、県内に入ってくる可能性もあり、情報に注意している」

 100疾患超も

 県の感染症調査は一九七八(昭和五十三)年に始まった。当初は十八疾患が対象だったが、現在は百以上に増えた。インフルエンザなど多くの患者が出る疾患は、全数を把握するのは難しいため、小児科、眼科など県内百十七の医療機関に協力してもらい、定点観測している。それらのデータは各保健所を通して、県健康危機管理課に集められている。

 同課は、大きな流行が起きたり、それが疑われるときには警報を、四週間以内に大きな流行が発生する可能性が高いときには注意報を出す。その基準は病気で異なる。例えば、インフルエンザの警報レベルは一定点当たりの報告数が三十件だが、手足口病だと五件、麻疹は一・五件だ。

 個人の感染予防策は、うがいや手洗いが効果的だ。しかし、流行全体を抑えるには、どうすべきなのか。同課は「体調が悪い人はマスクを着け、学校や会社は休む。せきやくしゃみが出るときはハンカチなどで口を押さえるなどのエチケットを心掛けてほしい」と、マナー向上を訴えていた。(梅野智博)

(熊本日日新聞2007年4月14日付くらし面)
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