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| タミフル騒ぎで、品薄のリレンザ |
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厚生労働省は、抗インフルエンザ治療薬「タミフル」(一般名リン酸オセルタミビル)服用の有無にかかわらず、インフルエンザにかかった子供が在宅治療する場合、医師ら医療従事者が(1)異常行動をする可能性がある、(2)一人にしないーの2点を家族らに説明してほしいと文書で呼び掛けた。しかし、もう一つの抗インフルエンザウイルス薬「リレンザ」(一般名ザナミビル水和物)を服用した子供が、異常行動などから死亡した例は今のところ報告されておらず、インフルエンザのオフシーズン近くになって品薄状態になっているという。
■パンデミックはすべてA型
インフルエンザウイルスは、性質からA型、B型、C型に分類される。A型とB型は、ヒトや家禽(かきん)類に最も強い病原性と感染力を持つ。C型は、子供が感染した場合はA型のように呼吸器症状が現れるが、大人が感染してもほとんど症状は現れない。
かつて世界中にスペイン風邪やアジア風邪といったパンデミック(大流行)を引き起こしたウイルスはすべてA型だ。A型ウイルスは円形または紐(ひも)状。表面に二種類の糖タンパク質が突き出ている。一つはヘマグルチニン(HA)、残る一つはノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる。これらの糖タンパク質もウイルスのタイプで異なり、それによってさらに亜型に分類される。
例えば、話題をさらっている高病原性鳥インフルエンザH5N1亜型。A型のインフルエンザでヘマグルチニン(HA)が5、ノイラミニダーゼ(NA)が1を表している。HAは1から16、NAは1から9の亜型が存在する。HAは、ウイルスが気道の粘膜から細胞内に侵入する際の先導役になり、NAは増殖したウイルスを細胞外に放出する。
■処方量と剤形の違い
タミフルとリレンザは、このNA(ノイラミニダーゼ)の働きを選択的に阻害し症状の悪化を改善する。ただし発症後48時間以内に服用しないといけない。類似の機序だが、異常言動との関連性を指摘されているのはタミフルばかり。製薬業界関係者によると、要因は2つあるという。一つは、処方量の違い。タミフルとリレンザの比率は9対1か、それ以上、タミフルが処方されており、異常言動との関連性が疑われやすい。
もう一つは剤形。タミフルはカプセルなので容易に服用できるが、成分が血中に入り全身を回る。一方、リレンザはドライパウダー。専用吸入器で吸引し上気道に高濃度の薬剤が届き作用する。パウダー(粉末)を生理食塩水などで溶かして液化させ、電動ネブライザー(吸入器)を使って直接上気道に届ける方法もある。
■発熱初日と2日目が要注意
厚生労働省の調査班が05/06年インフルエンザシーズンに実施した「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」がまとまっているが、目的はインフルエンザ脳症の際に起こる異常言動は、脳症の前触れなのか、インフルエンザの一般的な随伴症状なのかを調べるためだった。そのデータの一つが、異常言動とタミフル服用の因果関係を否定する材料になっている。調査班の報告では、タミフル服用群の異常言動の発現率は11.9%、非服用群は10.6%で統計学上の有意差は認められない。ただ調査対象者が0歳〜61歳までの約2500人だった。このため調査班は現在、小児1万人規模の調査を進めている。
現時点では調査班の調べでも、異常言動の発現率は大半が発熱初日から2日目に集中している。その原因が薬剤に起因するか、インフルエンザの随伴症状かは不明だが、少なくとも発熱初日と2日目は、患者へのきめ細かな注意をする必要がありそうだ。(南里秀之)
(くまにちコム「健康・医療」2007年3月8日付)
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