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| 強い感染力「ノロウイルス」 手洗いが予防に効果的 |
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全国的に感染性胃腸炎が流行している。県内の患者数は今のところ例年並みだが、主原因のひとつ「ノロウイルス」は感染力が非常に強く、流行が一気に広がる可能性もある。予防には食事前の手洗いが効果的。便や嘔吐(おうと)物で汚れた床や衣類は塩素系漂白剤で消毒する必要がある。
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| 給食の前、石けんで手を丁寧に洗う児童たち=熊本市の出水南小 |
熊本市の会社員A子さんは先月の朝、突然の吐き気で目が覚めた。トイレで吐いても症状は治まらず、やがて三八度の発熱や腹痛も。病院ではウイルス性腸炎と診断された。「二、三日で治る。重く考えないで」と医師。A子さんは「最近は生ものを食べたり、外食もしていない。何が原因なんだろう」と困惑した。
ノロウイルスは口から体内に入り、腸管で増殖する。二枚貝に含まれる食中毒の病原体として知られていた。最近になって国際的なウイルス定義や検査法が確立し、人から人への感染の実態が徐々に分かってきた。
熊本市保健所の佐藤龍一郎医師は「ノロウイルスは感染力がとても強い。ブドウ球菌やボツリヌス菌は十万個以上の菌が体内に入らないと発症しないが、ノロウイルスは百個以下の微量でも感染する」と注意を促す。
腸管で増えたウイルスは便や嘔吐物に混じって体外に排出される。「二万分の一滴でも感染力があると言われる。ウイルスが付いた手で触った食器や食品でさえも感染源になり得る」
感染予防には食事前やトイレ後の手洗いが効果的だ。特別な消毒薬は不要だが、つめの間から手首まで、石けんを良く泡立てた後、流水で三十秒以上洗う。タオルの共用は避けたい。
嘔吐物をふいたモップやぞうきんが乾燥して、ウイルスが空気中に飛散したケースも報告されている。佐藤医師は「嘔吐物を清掃する時は部屋の換気を良くしてマスクと手袋の着用を。ノロウイルスはアルコール消毒では死滅しないので、塩素系の漂白剤を浸したペーパータオルで床を良くふき、使用後は必ずビニール袋に入れて密封してほしい」と話す。
ノロウイルスに感染しても重篤化することはまずない。国立感染症研究所(東京都新宿区)によると、発症しなかったり軽い風邪のような症状で終わることもある。ただ、下痢や嘔吐が続く場合は脱水症状を避けるため、水分補給が必要。下痢止め薬は回復を遅らせるので望ましくない。
高齢者や体力が弱った人が、嘔吐物をのどに詰まらせるなどで死亡した例がある。「ノロウイルスは八五度以上で一分間以上加熱すると死滅する。高齢者や乳幼児には、中まで十分に加熱したものを食べさせてほしい」と佐藤医師。また、治った後でも一カ月近くは便にウイルスが混じる。
A子さんの下痢と発熱は三日目に治まったが、軽い吐き気は一週間ほど続いた。「しばらくは人にうつさないかと心配だった。手洗いは今後も続けたいと思います」と話していた。(梅野智博)
(熊本日日新聞2006年12月27日付朝刊)
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