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インフルエンザ予防 マスクや手洗い、患者は隔離
マスクの効果を調べるため米ミシガン大で昨年実施された実験の様子(AP=共同)
 インフルエンザからどうやって身を守るか。新型インフルエンザへの警戒感が高まる中、対策としてワクチンや抗ウイルス薬ばかりが注目されてきた。しかし最近、マスクや手洗いといった、ごく普通の衛生対策の重要性が見直されつつある。

 「ウイルスによる呼吸器感染症のまん延を防ぐには、手洗いやマスク、感染者の隔離などが有効だ」「新型インフルエンザの大流行に備え、こうした衛生対策をもっと検討し、重視すべきだ」

 ▽海外の論文

 昨年十一月、欧米などの国際共同チームがそんな論文を英医師会雑誌(電子版)に発表した。

 チームは、ウイルスによる呼吸器感染症対策に関する約二千三百本の論文から、ある程度質の高い四十九本を選び、内容を詳しく調べた。

 その結果、感染拡大を防ぐには(1)頻繁な手洗い(2)マスク、手袋などの着用(3)感染した可能性がある人の隔離が有効であることが分かった。

 特に幼児に手洗いを指導した事例で、明確な効果を確認。ふだんから衛生対策を教育しておけば感染拡大を抑える強力な手段になると指摘した。

 ▽手から鼻へ

 なぜ、手洗いやマスクが有効なのだろうか。

 インフルエンザに感染すると、一〜三日の潜伏期を経て急な発熱などの症状が出る。その後の三〜四日間がウイルス排出のピークで、せきやくしゃみとともにウイルスが体の外に出ていく。

 ウイルスを含む鼻水などの「飛沫(ひまつ)」や、飛沫から水分が蒸発し小さくなった「飛沫核」を吸い込んで感染することもあるが、意外に多いのが「接触感染」だと久保伸夫・関西医科大准教授(耳鼻咽喉(いんこう)科学)は指摘する。

 「患者が鼻に触った手でドアノブなどを握るとウイルスが付く。それを別の人が触り、その手で鼻に触ることで感染する。マスクは手が鼻に触るのを防ぐのです」

  久保准教授とマスクメーカーのユニ・チャームは昨年、東京の小学校でマスクの効果を調査。通学と掃除の際にマスクをした児童のインフルエンザ発症率は、しなかった児童の五分の一だった。

 ▽米国も研究

 一九一八〜一九年の「スペイン風邪」というインフルエンザ大流行で、米国では五十五万人の死者が出た。その中で学校閉鎖や患者隔離などの衛生対策を早めに取った都市は死者が少なかった。

 新型インフルエンザの流行が始まっても、ワクチン製造には半年近くかかり、当面は衛生対策が重要になる。そこで米疾病対策センター(CDC)は、マスクや手洗いを含む衛生対策の有効性の調査に乗り出した。

 CDCは八件の研究を支援。このうちミシガン大のアーノルド・モント教授らは昨年から二年計画で実験を進めている。

 昨年は同大の学生千人余りが参加。学生寮を三グループに分け、一つはマスク着用と手洗いを励行、もう一つはマスク着用のみ、残る一つはどちらもせず、と行動パターンを指定した。

 計八週間の実験でインフルエンザ発症の差を比べる。モント教授によると、昨年の結果は現在解析中で、今年も昨年と同様の実験をする予定だ。



(熊本日日新聞2008年2月23日付朝刊)
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