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健康な人襲う突発性難聴 原因不明、高気圧治療は有効
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健康で耳の病気をしたことがないのに、突然、耳が聞こえなくなる「突発性難聴」という病気がある。原因は不明で、さまざまな治療法が試みられているものの、有効性が確認されたのはわずかに一つという現状だ。
新年早々、歌手の浜崎あゆみさんは、左耳が聞こえにくくなっているとファンに告白した。所属レコード会社によると、診断名は「突発性内耳障害」だが、普通はあまり使われないようだ。
●耳の奥の障害
「病気の状態によく分からない点があるため、症状に基づいてそう表現したのではないか」と喜多村健・東京医科歯科大教授(耳鼻咽喉=いんこう=科学)。
内耳とは耳の最も奥にある部分で、カタツムリに似た形の聴覚にかかわる「蝸牛(かぎゅう)」や、平衡感覚にかかわる「三半規管」などがある。こうした器官に障害が起こると、高度の難聴が急速に進む。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の原因ウイルスが感染したり、爆発音などの大音響で蝸牛が壊れたりして起こる場合もあれば、内耳に栄養を運ぶ血管が脳梗塞(こうそく)で詰まって起こることもある。
●患者数が倍増
原因不明のもので代表的なのが「突発性難聴」。症状が悪化したり改善したりという変動がないのが特徴で、原因としてウイルス感染や血管の循環障害が疑われている。
厚生労働省研究班の主任研究者を務めた喜多村教授によると、突発性難聴で治療を受けている人は二〇〇一年時点で全国で推定三万五千人。一九八七年の同一万六千七百五十人の約二倍に上る。年代別では五十代から六十代に多かった。完治する人、ある程度治るものの難聴が残る人、治らない人の割合は、それぞれ三分の一だという。
急に聞こえが悪くなる原因不明の病気でより頻度が高いのは「急性低音障害型感音障害」だ。発症のピークは三十代。低音だけが聞こえにくくなり、比較的治りやすい。患者数は百万人当たり四百〜六百人とみられる。
●早めの治療を
突発性難聴の治療で最もよく使われるのは、炎症を抑えるステロイド剤だ。ストレスに関連するという見方もあり、安静にすることも主な治療法の一つになっている。
ただ、いずれも効果は確認されていない。その中で昨年、病気の診断と治療について世界で最も信頼されているデータベース「コクランレビュー」に初めて「高気圧酸素治療」の有効性が報告された。
高気圧酸素治療は、大気圧の二倍の気圧をかけたタンクに入り、100%の酸素を一時間吸う治療法。コクランレビューは突発性難聴に対する効果を認めつつも、慎重な利用を求めている。
東京医科歯科大病院には十六人を収容できる大型タンクがあり、希望者に対し一日一回、二週間を一コースとして実施している。特に症状が重い人に勧めており、改善傾向が出ているという。
喜多村教授は「高気圧酸素治療は発症後二週間以内に始めた方がいいようだ。聞こえが悪くなったら早めに治療を受けてほしい」と話している。
(熊本日日新聞2008年2月16日付朝刊)
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