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トシリズマブが関節リウマチ患者の症状を有意に改善
 関節リウマチ患者600人以上を対象にした国際的な第V相臨床試験で、生物学的製剤トシリズマブ(商品名アクテムラ)を投与した患者群は、関節リウマチ治療に広く使われているメトトレキサートを投与した患者群に比べ、症状や「生活の質(QOL)」が有意に改善されたことが、英医学誌『ランセット』に掲載された。

 試験は、17カ国・73施設の関節リウマチ患者623人に実施された。トシリズマブ静脈点滴注射剤を4週間間隔で投与する患者群(体重1kg当たり4mg投与または8mg投与)と、週1回だけメトトレキサートを併用する患者群、または、偽薬の静脈点滴注射剤と週1回だけメトトレキサートを併用する患者群に無作為に分類。24週の時点で関節リウマチの症状改善を表すACRと呼ばれ指標で各患者群を比較した。

 その結果、ACR20 (症状の20%改善)を達成したのはトシリズマブとメトトレキサートの併用群が58・5%だったのに対し、偽薬とメトトレキサートの併用群は26・5%だった。

 関節リウマチ患者の疾患活動性を評価する複合的な指標とされるDAS28を用いると、トシリキシマブとメトトレキサートの併用群は2週間目から多くの患者の症状が改善され、24週目までには27・5%が臨床的寛解状態になった。

 試験でACR50 (症状の50%改善) が認められたのは、体重1kg当たり8mgのトシリズマブとメトトレキサートの併用投与群で43・9%、偽薬とメトトレキサートの併用投与群で10・8%。根治に近い状態であるACR70(症状の70%改善)は、トシリズマブとメトトレキサートの併用投与群で22%が達成、偽薬とメトトレキサートの併用投与群では2%にとどまった。

 DAS28に基づくEULAR改善基準という尺度を使うと、24週の時点では体重1kg当たり8mgのトシリズマブとメトトレキサートの併用投与群では80%が症状の「中等度」から「良好」な改善を示した。一方、偽薬とメトトレキサートの併用投与群の「中程度」から「良好」な症状改善は35%だった。

 この臨床試験では、患者の身体機能と「生活の質」を投与開始時と4週間毎に評価した。

 関節リウマチは、全身の関節の滑膜の炎症を特徴とする進行性の自己免疫疾患。トシリズマブは、炎症にかかわっている主な数種類のサイトカインの一つであるインターロイキン−6(IL−6)の活性を抑制し、関節リウマチ特有の全身症状を緩和する。主な副作用は上気道感染、鼻咽頭炎、頭痛、高血圧など、重大な副作用は肺炎、敗血症、アナフィラキシーショックなどが、それぞれ報告されている。

 日本の関節リウマチ治療薬は、第一選択薬とされるメトトレキサートのほか、新しいタイプのTNFα阻害薬と呼ばれるインフリキシマブやエタネルセプトが使われている。TNFα阻害薬はメトトレキサートとの併用でリウマチによる関節の骨の破壊を食い止めるのに有効だが、発症早期ではメトトレキサート単独でも骨の破壊を食い止めるケースもある。トシリズマブはTNFα阻害薬に勝るとも劣らない効果が得られるとの指摘があるものの、関節リウマチ治療薬としては厚労省で承認審査中。ただ希少疾病のキャッスルマン病治療薬として販売されている。

 DAS28は、圧痛、腫脹関節、赤血球の沈降速度、患者自身による関節の痛み評価(VAS)を用いて、患者の全身状態を評価する手法。DAS28<2・6の場合、米国リウマチ協会の基準では寛解期に相当する。(南里秀之)

(くまにちコム「健康・医療」2008年3月31日付)
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