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| 関節リウマチ治療が進歩 痛み緩和から根治へ転換 |
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ここ数年で関節リウマチの医療が大きく進歩した。二つの新薬が使えるようになったからだ。「痛みを和らげるケアから、関節の破壊を抑える方向に転換した。根本治療まであと一歩のところ」と、リウマチ治療に詳しい山中寿東京女子医大教授は話す。しかし、患者死亡など深刻な副作用の報告もあり、使用にあたっては厳密な管理が必要だ。
関節に強い炎症が起きて、関節が徐々に破壊され、日常生活に支障をきたす。関節リウマチの症状だ。重症ほど寝たきりになり、亡くなるのが早い。患者は女性に多く、人口の0・5―1%、日本に少なくとも六十万人はいる。
かつては本格的な薬が何もなく、診察室が車いすであふれていたが、一九八〇年代に抗炎症薬などが出て、痛みはかなり抑えることができるようになった。
新薬は、日本で二〇〇三年に承認されたレミケードと〇五年承認のエンブレル。いずれも生物が作り出すタンパク質で、生物学的製剤と呼ぶ。関節で骨を壊す腫瘍(しゅよう)壊死(えし)因子(TNF)と結合して働きを抑える。
▽症状が改善
同大の膠原(こうげん)病リウマチ痛風センターは全国のリウマチ患者の1%に当たる約六千人を診ている。その平均的症状は最近七年間で着実に改善した。この二つの新薬が使えるようになり、「山が動くように良くなった」という声も。
しかし三分の二は「まずまず。痛みはあるが、日常生活はできる」にとどまる。山中教授は「症状が少しずつ進むので、この段階に満足してはいけない」と語る。
レミケード、エンブレルとも約二年、数千例の市販後全例調査が実施された。長期投与の効果は八、九割に上ったが、肺炎など重い副作用が6%あった。今月六日にはエンブレルの製造発売元が「投与後に死亡、薬との因果関係が否定できない患者が七十九人に上る」ことを明らかにした。
いずれも飲み薬でなく、注射する。レミケードは八週に一回の点滴静脈内注射で、エンブレルは週二回皮下注射で投与する。患者がどれだけ通院できるかも考慮して選ぶ。
このうち、エンブレルは糖尿病患者のインスリンと同様、患者の自己注射が認められた。看護師が患者にトレーニングして自己注射を指導する。その後も、連絡し合い、疑問に答えて支援する。
▽長期旅行も
二十代で発症して二十年近くになる女性患者は自己注射しながら、二週間おきに通院治療を受けて症状の進行を抑えている。「自己注射は初め怖かったが、あまり痛くなく、不安が消えた。自由な時に注射できて、長期旅行に出掛けるのも可能になった」とQOL(生活の質)の向上を喜ぶ。
リウマチ患者への生物学的製剤投与は米国が四割を超えているのに、承認が遅れた日本は一割足らず。今後二、三割まで増えそうだ。
●価格など多い課題
「二つの新薬の治療効果は高い。しかし、副作用や価格など乗りこえるべき課題も多い。効き目に個人差も大きく、決して特効薬ではない」。熊本膠原(こうげん)病研究会のメンバーで、熊本整形外科病院(熊本市九品寺)の中村正・リウマチ膠原病内科部長は、新薬レミケードとエンブレルの問題点を指摘する。
同病院では、年間百人を超す患者に新薬を使った治療をしている。全身の痛みで寝たきりがちだった患者が、治療後は歩けるまで回復することがあるという。中村部長は「関節リウマチはかつて根治困難といわれたが、今では早期発見して治療すれば、治癒も不可能でなくなった」と話す。
しかし、効果が出るまでに数カ月かかったり、効き目が徐々に弱くなる人もいるという。
新薬には免疫を抑える働きがあり、結核、日和見感染症などの重い副作用の危険性がある。このため、リンパ球の数が少ないなど免疫力が弱い人、肺などに基礎疾患がある人は使えない。治療を受ける場合は、症例が豊富で副作用に詳しい医療機関を選びたい。
価格は非常に高い。二つの新薬とも健康保険の対象だが、一カ月で九万円ほどかかる。中村部長は「だれもが平等に使える薬ではない。そこも問題点」と話す。
来年には新たに三種類の生物学的製剤が発売される予定だ。中村部長は「治療の選択肢が増えることになる」と期待している。(梅野智博)
(熊本日日新聞2007年12月15日付朝刊)
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