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高齢者の関節の激痛… リウマチ性多発筋痛症の疑い
 上腕や肩、首などが激しく痛み、治療を受けても治らない。時には立ち上がれないほど痛い。そんな人はリウマチ性多発筋痛症(PMR)の疑いがある。統一された診断基準や確かな検査法はなく、症状も人によって異なることがある。診断が難しいので、別の病気と間違われることも。県内の医師たちは、診療科の枠組みを超えて情報交換に取り組んでいる。

リウマチ性多発筋痛症の講演で、診断方法などを解説する森俊輔医師=熊本市
  熊本市近郊に住む七十代の男性Aさんは昨年、肩の周辺に強い痛みを感じた。近くの病院で痛み止め薬をもらったが効かない。その後も整形外科など複数の病院を回り、「眠れないほど痛い」と訴えた。原因は分からなかった。

 三カ月後に合志市の熊本再春荘病院を訪ねたときには、痛みは全身に広がり、体を動かせない状態だった。リウマチ科の森俊輔医長は「PMRの可能性が強い」と診断。少量のステロイドを服用すると、Aさんの症状は劇的に改善した。二、三日後には痛みが完全に消えた。

 「これまで日本人には少ない病気だと思われていたため、十分な疫学調査もされていない。再春荘病院でも(PMRに取り組み始めた)五年ほど前は、まったくの手探り状態だった」と森医師。同病院では昨年、十五人のPMR患者が見つかった。「意外と多いので驚いている。潜在的な患者はもっと多いのではないか」

 森医師によると、PMRの痛みは肩、ひざなどの関節を包む「滑膜」の炎症によって引き起こされる。ただ、患者は関節の痛みを、関節周辺にある筋肉の痛みと誤解することが多い。「多発筋痛症」と呼ばれるのはそのためだ。痛みのほか三八度台の発熱や全身のけん怠感、うつ状態などを伴うこともある。患者は高齢者、特に七十代に多い。滑膜炎の原因は分かっていない。

 関節リウマチや肩腱板(かたけんばん)損傷と症状が似ているので間違われやすい。原因が分からず不明熱と診断された例もある。それらの治療を続けても、当然治らない。

 診断は難しい。病気を特定できる検査方法や標準的な診断基準がないからだ。医師は、患者の痛みの様子、炎症の程度、肺炎などの感染症の有無などから総合的に判断する。経験が頼りだ。

 特に側頭部の痛みや視力障害は要警戒だ。「側頭動脈炎」という血管の炎症を合併している場合がある。まれな病気だが、放置すると視神経や網膜を傷付けて失明することもある。

 「治療にはステロイドが劇的に効く。通常のPMRならば、ごく少量でいい」と森医師。側頭動脈炎を合併している場合は量が増える。

 ただ、PMRは再発しやすく、ステロイドの服用は長期的になる。高齢者は骨粗鬆(こつそしょう)症や糖尿病といった副作用が出ることがある。森医師は血糖や血圧の検査、骨粗鬆症治療薬の併用を勧めている。(梅野智博)

 (熊本日日新聞2007年2月3日付朝刊)
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