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| 骨粗しょう症の新治療薬 副作用少ない選択肢に |
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骨がすかすかになり、脊椎や大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)などが、骨折しやすくなる骨粗しょう症。国内の患者は一千万人、このうち八百万人は閉経後の女性と推定されている。そんな閉経後女性の骨粗しょう症に、骨にある女性ホルモン受容体と結合し、骨の吸収を抑えて骨密度を高め骨折を防ぐというユニークな治療薬が登場した。
■骨吸収マーカー
産業医科大(北九州市)の中村利孝教授(整形外科)、川崎医科大(岡山県倉敷市)の福永仁夫副学長(放射線科)、成人病診療研究所(長野県松本市)の白木正孝所長(内科)でつくる研究会が、一九九九〜二〇〇二年に骨粗しょう症と診断された松本市と周辺の二百八十人(平均年齢六十四歳)のデータを分析した。その結果、一年半の経過観察で三十人が背骨を骨折していた。骨折しなかった残る二百五十人と比較すると、骨折した三十人は(1)骨密度が低い(2)既に骨折の経験者だった(3)高年齢(4)骨代謝の活発さを表す「骨吸収マーカー」が平均で二倍以上高かったといった特徴が判明した。
骨粗しょう症は、骨の主成分のカルシウムやコラーゲンなどが減り、骨の構造が粗くなる。高齢化に伴い、骨の形成が吸収(骨の破壊)に追い付かなくなり、骨が減っていく状態だ。
中村教授は、骨吸収マーカーの高さに着目、「骨の形成と吸収が活発になっていることが分かる。併せて骨密度も低くなると、骨がもろくなっている」と指摘する。
海外のデータでは骨を溶かす破骨細胞の活動を抑える骨吸収抑制剤(ビスフォスフォネート剤)を一年間投与すると、腰椎(つい)の骨密度が増加しなくても、骨折のリスクは25%低下。骨密度が1%高まると、骨折リスクは28%にまで低下した。
■骨の質を改善
骨の吸収を抑制しただけで、なぜ骨折のリスクが低下するか。中村教授は「骨吸収を抑制し、骨の代謝を抑えることによって、骨の微細構造が安定して骨の質を改善しているようだ」とみる。
新しいタイプの骨粗しょう症治療薬は、米イーライリリー社が開発した「エビスタ」(一般名ラロキシフェン)。選択的エストロゲン受容体モジュラー(SERM)と呼ばれ、エストロゲン受容体と結合、血中濃度が高まると骨吸収を抑制する。ただエストロゲンのようなホルモンではなく、働き掛ける組織によって作用が異なる。骨にはエストロゲンのように作用し、子宮や乳房にはエストロゲンのような刺激作用が少ない。
■骨折55%低下
閉経後の骨粗しょう症患者七千七百五人(年齢八十歳以下)を対象にした海外の臨床試験によると、エビスタの三年間投与群と偽薬投与群の比較では、背骨骨折未経験者の骨折発生率を55%、経験者の発生率を30%低下させた。一年間投与では、自覚症状を伴う新規の背骨骨折の発生率を、偽薬投与群と比べ68%抑えた。
中村教授によると、骨吸収抑制作用では、ラロキシフェンは、十年間使われ安全性が確認されているビスフォスフォネート剤と遜色(そんしょく)ない。ただビスフォスフォネート剤は服用すると、吐き気など胃の副作用を訴える人もいる。ラロキシフェンは、そんな胃の副作用が極めて少ないという。
「ラロキシフェンは、ビスフォスフォネートの類似品じゃないので、骨粗しょう症治療の選択肢が明らかに一つ増えた。ビスフォスフォネートを使えなかった患者には、朗報と言ってよいだろう」。中村教授は、そう話している。
(熊本日日新聞2004年6月23日夕刊掲載)
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