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リウマチ治療に革命 遺伝子工学駆使して製薬
 タンパク質は生命を維持するため、体のあらゆる場所でいろんな働きをしている。そのシステムは互いに影響しあい複雑なだけに、バランスが崩れると、一転して病気を引き起こす。分子生物学がその仕組みを解明するにつれ、遺伝子工学で作った人工タンパク質でバランスの回復を狙う薬が現れた。「生物学的製剤」と呼ばれ、難治だった関節リウマチ(RA)の治療に革命をもたらしている。

 RAは免疫機能のバランスが崩れ、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患。主に炎症で関節を包む滑膜が増えて厚く腫れてしまい関節が破壊される。発病にはT細胞など、免疫をつかさどるリンパ球がかかわる。感染などによる炎症でリンパ球が異常に活発化し、血管から関節などの組織に出ていく。その結果、滑膜細胞が増殖。新たな血管もできてリンパ球の供給が増え、炎症は慢性化する。さらに軟骨を壊す破骨細胞の働きも促し、関節が破壊される。

 一連の現象の調節には、炎症性サイトカインと呼ばれるさまざまなタンパク質が関与する。現在、腫瘍壊死(しゅようえし)因子TNFやインターロイキン(IL)1、IL6など十種類以上の存在が判明している。

 米国でRA治療に認められた生物学的製剤は三つ。うち二つはTNFの抑制を狙った薬だ。インフリキシマブはTNFの中和抗体で体内のTNFと結合、その働きを抑える。ただ結合部分はマウスのタンパク質のため、使用するうちに体が異物と判断し、中和抗体に対する中和抗体ができる問題がある。

 エタネルセプトは、TNFが結合する細胞表面の受容体タンパクを人工合成した“おとり受容体”。結合力が五十倍も強く、TNFはこのおとりと結合してしまう。本来、体内にある物質で中和抗体もできない。これらは既に日本でも承認申請され、年内に認可の見通しだ。残るアナキンラはIL1の受容体に結合し、ふたをする。

 開発が大詰めの薬も多い。まずTNF中和抗体のアダリムマブ。すべてヒトのタンパク質で中和抗体はできず、欧米では既に申請中だ。

 大阪大チームが開発したMRAはIL6受容体の抗体で、初めてIL6を標的にした。近く国内で最終的な臨床試験に入る。抗体を作るB細胞を壊す薬や、T細胞の活性化を抑える薬など有望候補は多い。

 現在の生物学的製剤が効かない患者もいる。産業医科大(北九州市)第一内科の田中良哉教授は「新しい薬が登場すれば、治療の選択肢が増える」と歓迎している。

 (熊本日日新聞2003年2月25日夕刊掲載)
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