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腰の手術怖がらないで! 最新技術導入で安全に
 腰痛の手術に、磁気共鳴画像装置(MRI)や顕微鏡手術など最新技術の導入が進んでいる。手術症例も増えて、信頼性は高い。腰の手術というと「重い後遺症が残る」と不安がる人が多いが、専門医は「怖がって治療を遅らせると、症状が悪化する」という。

2年前に腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた患者の症状を調べる池田天史医師=八代市の熊本労災病院
 腰痛は、日本人にとって悩ましい病気だ。厚生労働省の国民生活基礎調査(2004年)によると、腰痛を訴える人は1000人中82人。「肩こり」(同58人)や「せきやたんが出る」(同55人)などほかの症状を抑え最も多い。

 八代市の農家で、70代の男性は10年ほど前から腰痛に悩んでいた。1999(平成11)年冬、熊本労災病院(同市)で診察を受け、医師から手術を勧められたが、断った。昨年夏にも同院を訪ね、今度は手術前検査まで受けたが「知人から『腰の手術を受けると歩けなくなるぞ』と言われ、怖くなってやめた」という。

 今年8月には3度目の受診。足腰の痛みやしびれがひどく、100メートルも歩けなくなっていた。「思い切ってやってみよう」と顕微鏡手術を受けた。経過は良好だった。2日後には歩けるまでに回復し、痛みもとれた。「これからは畑仕事もできます。もっと早く受ければ良かった」と男性。

 男性の腰痛は「腰部脊柱管狭窄(ようぶせきちゅうかんきょうさく)症」が原因だった。椎間板(ついかんばん)ヘルニアと並んで、腰痛の代表的な疾患とも言われる。

 男性の主治医で、同病院整形外科部長の池田天史(たかし)医師によると、背骨の後ろ側にある脊柱管が変形して狭くなり、中を通っている神経を圧迫することで起こる。主な症状には腰痛、下肢の痛みやしびれのほか、歩き始めてしばらくすると足がしびれて歩けなくなる間歇跛行(かんけつはこう)がある。「椎間板ヘルニアと比べ、高齢の人に多いのも特徴の一つ」と池田医師。

 力仕事などで腰への負担が大きい人に多いが、事務職にも患者は少なくない。症状が安定していれば内服薬や注射、温熱療法などで様子を見る。しかし、痛みが強かったり、症状が進んでいれば、手術が最も効果的な治療法になる。

 池田医師によると、MRIの普及で、脊柱管の変形の様子が詳しく調べられるようになった。また、顕微鏡をのぞきながら手術するので、変形個所をピンポイントで除去できる。変形が1カ所だけなら背中をメスで切るのは4〜5センチほどだ。傷が小さいので痛みが軽く、回復も早い。

 「かつては手術後の安静期間は2〜3週間必要だった。顕微鏡手術ならば平均して手術から2日後には歩くこともできる」と池田医師は話す。

 同病院では05年度、脊柱管狭窄症の手術を90例実施している。「手術法は完成している。手術によって(重い後遺症など)症状が悪くなることはない」という。

 手術は成功しても症状が思うように良くならないこともある。腰痛や下肢の痛みを長い間放置したために神経そのものが傷んでしまい、脊柱管の変形を取り除いても、神経の機能が回復しないためだ。「しびれを感じる神経は特に弱く、症状が残ることが多い。手術を怖がって我慢するのはやめた方がいい」。池田医師は早めの手術を薦めている。(梅野智博)

 (熊本日日新聞2006年9月13日付朝刊くらし面)
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