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進歩する人工関節手術 術後翌日からリハビリ可能
 高齢社会の進展に伴い、人工ひざ関節手術が急速に進歩している。早期の社会復帰を念頭に、ひざの皮膚を小さく切り開き、筋肉などへの負担を軽くする方法などが普及し始めている。

 変形性関節症や関節リウマチなど関節の病気に苦しむ人は約百万人と推定され、年々増え続けている。ただ痛みや不自由さを解消する“特効薬”はなく、最後は人工関節への置換手術になる。現在、股(こ)関節で年約三万人、ひざ関節で年約四万人が置換手術を受けている。

 ひざの人工関節手術では、通常、皮膚を十五センチ〜二十センチほど切り開く。最近、普及しているMIS(最小侵襲手術)と呼ばれる方法は、皮膚を切り開く幅が八センチ〜十二センチで筋肉や靭帯(じんたい)筋力などへの負担が軽い。

 これを改良したMIS QS=大腿(たい)四頭筋温存手術=という方法は傷口が八センチ〜十センチ。ひざ上の大腿四頭筋を切らずに特殊な器具で手術する。術後翌日からのリハビリテーションが可能で、入院期間は通常の手術の三分の二程度。

 ところがMISもMIS QSも、術者の熟練度が不可欠だ。六月に沖縄県で開かれた日本膝関節学会など三学会の合同会議では賛否が割れた。「皮膚を小さく切り開くため手術の時間がむしろ長くなる」「手術時間が長いと出血量が増えたり、感染症の可能性が高まる」といった弊害を指摘する声も上がった。特にMIS QSは、症例数五十例以上の医師は全国でも十人前後という。

 その一人が、北里研究所病院(東京都港区)の月村泰規・整形外科医長。慶応大病院の松本秀男・助教授(整形外科)らと協力し、技術アップやスタッフ育成などに取り組んでいる。「スタッフが育てば、術後のケアを含めてもっと安全に手術できるようになる。手術数は年三百例が目標。筋肉を傷つけないので、術後の筋力、ひざの曲がりの回復が早い」と月村医長。

 ただ関節の変形や損傷がひどいとMIS QSはできず、通常の手術になる。月村医長は言う。「MIS QSに取り組んでいると、普通の手術も小さな切開でできるようになり、メリットは大きい」

(熊本日日新聞2006年8月16日付「夕刊メディカル」)
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