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冠れん縮狭心症 原因は血管壁の内皮の傷み
 血管の病気は、早いうちに見つけて治療する必要がある。急激に重い症状が現れて、死亡したり後遺症を残すことがあるからだ。熊本赤十字病院(熊本市長嶺南)は今年4月、血管病を専門に診断、治療する総合血管センターを立ち上げた。最新の画像診断とチーム医療で、多くの治療症例を積み重ねている。

  狭心症は、心臓の冠動脈の血流が何らかの原因で減って、心臓の筋肉が酸素不足になり発作的に胸痛が起こる。発作の起こる仕組みの違いでいくつかのタイプに分かれるが、日本人に最も多いのは冠れん縮狭心症だ。

 冠動脈は、心臓に酸素や栄養を運ぶ“命綱”。狭心症は、ここを流れる血液が減少し、心臓の筋肉(心筋)が一時的な酸素不足に陥る病気。血管が詰まって血流が完全に遮断されると、心筋が壊死(えし)する心筋梗塞(こうそく)になる。

 典型的な狭心症の症状は胸痛だが、胸の当たりが押さえ付けられたような感じや、締め付けられるような感じが現れる。症状は、みずおち、左肩、あご、歯、首、さらには指先にまで現れることがある。発作時間は長くて十分程度、三十分以上続くと心筋梗塞が疑われる。体に負担をかけた時に起こる労作(ろうさ)狭心症と安静時に起こる安静狭心症がある。

 冠れん縮狭心症は、日本人の狭心症の約50%を占めるという。血管が、けいれんで収縮、つまり「れん縮」する。原因は血管壁の内皮の傷み。内皮から分泌される一酸化窒素(NO)は血管を拡張させるが、内皮が傷んでいると、NOの分泌が減る一方、自律神経から放出されるアセチルコリンという物質が内皮の下にある平滑筋という血管の筋肉を刺激、血管を縮める。

 その結果、血管が過剰に収縮、けいれんが起こる。けいれん自体も血管壁を傷つけるほか、血管の炎症などいくつかの要因が絡みけいれんを引き起こすとみられている。

 発作は、夜中から明け方にかけての就寝中に多く、日中は少ない。特に早朝は洗顔や喫煙などで症状が出現することもある。発作の回数が増えると、昼間にも起こるようになり、体に負担のかかる動きをした時や驚いた時、怒った時などにも現れる。半面、自覚症状のない人も少なくない。

 背景には動脈硬化があるため、肥満や高血圧、高脂血症などの生活習慣病があると、発症しやすい。禁煙や適度な運動、バランスの取れた食事などが予防になる。薬物治療の第一選択薬はニトログリセリンで発作を鎮める。また降圧薬のカルシウム拮抗(きっこう)薬も発作予防に用いられる。

  (熊本日日新聞2006年11月15日付夕刊メディカル)
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