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心筋梗塞診断キット 血中のマーカー15分で測定
 急性心筋梗塞(こうそく)の際、心筋細胞から血液中に出て増加する特殊なタンパク質(マーカー)を、十五分ほどで測定できる迅速診断キットが普及し始めた。従来は分からなかった微小な心筋の傷害も分かるようになり、早期診断、治療につながっている。

 心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が脂質で詰まってしまう心筋梗塞や、冠動脈内側にたまったコレステロールが「プラーク」になって血管が狭くなる不安定狭心症、プラークが破裂して血管が急激に詰まる状態などは「急性冠症候群」と呼ばれる。こんな状態になった場合、血液中ではトロポニンという心筋の収縮をつかさどるタンパク質が出ている。

 急性冠症候群は、トロポニンの測定で診断が可能と分かり、米国と欧州の心臓病学会は二〇〇〇年に急性心筋梗塞の診断基準を改め、血中のトロポニンが増えると心筋梗塞とした。さらに心筋の細胞膜が傷害される比較的初期の段階で血液中に出てくる「H―FABP」というタンパク質も、急性冠症候群では上昇する。

 日本医科大(東京都文京区)第一内科の清野精彦(せいの・よしひこ)助教授らは、この二つの物質を微量の血液から検出し、急性冠症候群を判定する迅速診断キット「トロポニンT」と「H―FABP」を開発した。

 トロポニンTは発症六時間以降から一週間程度の長期判定に有効、H―FABPは発症二時間以内の診断に優れるとされる。トロポニンTは心筋梗塞でないのに陽性になる確率は低いが、発症直後の心筋梗塞は突き止めにくい。一方、H―FABPは心筋梗塞の見落としは少ないものの、狭心症や心不全でも陽性になるケースがある。

 熊本市立熊本市民病院は、正副院長を含め医師七十七人を抱える。救急外来の当直は各科の医師が順番に担当しているが、循環器病の専門医はわずか四人。非専門医が急性心筋梗塞を診断するのに二〇〇一年五月にトロポニンTを採用、疑わしい患者に使い、陽性の場合は専門医に連絡している。木村義博・循環器部長は「非専門医でも迅速に診断でき、助かっている。ただ専門医がより少ない、熊本市外の病院や診療所で使った方が一層役立つと思う」。

 マーカー検査により、不安定狭心症患者の30%は微小な心筋梗塞が起きており、日本医科大の重症患者では70%に上っていたという。清野助教授は「不安定狭心症の患者が増加しており注意が必要だ。致死的な病気を迅速診断法で判断して効果的な初期治療に結び付けるのが最も重要だ」と指摘している。

  (熊本日日新聞2004年1月7日付夕刊)
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