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アンジオテンシンU 心臓病治療薬として注目
 アンジオテンシンU受容体ブロッカー(ARB)と呼ばれる降圧剤が、心筋梗塞(こうそく)など心臓病治療薬としても使えることが海外の大規模臨床試験で分かった。

 アンジオテンシンUは血液中の生理活性物質で、血圧や水分、ナトリウムなどのバランスを調節している。この物質が増えると、血管を収縮させて血圧を上げる。このためアンジオテンシンUをつくれないようにしたり、働けないようにすれば、血圧が下がるわけだ。ここに着目して開発された降圧剤が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とARBで、臓器保護作用もあるため急速に普及している。

 一方、大規模臨床試験は、スイスの製薬会社「ノバルティスファーマ社」が主催するVALIANT。世界二十四カ国、九百三十一施設が参加。十八歳以上の心不全または左心室機能低下を伴う急性心筋梗塞患者のうち、発症後十二時間以上十日以内の一万四千七百三人を、(1)ACE阻害薬の単独投与(2)ARBの単独投与(3)両剤の併用投与の三群に分け平均二年間経過観察した。

 昨年十一月の米国心臓学会学術会議に報告された結果では、三群ともほぼ同様の効果がみられ、心筋梗塞後の死亡率が25%軽減する可能性があるとされた。会議に出席した熊本大医学部の小川久雄・循環器内科教授は「ある程度予想された結果だが、ACE阻害薬同様、ARBも心筋梗塞に使い易くなった。ただ、どちらが優れているかは、まだ分からない」。

 この試験以前から、小川教授はACE阻害薬やARBを心筋梗塞後の患者に使い効果をあげている。「心筋にダメージがあると、最高血圧が九十mmHg以下に下がる。ACE阻害薬なら通常量の半分、ARBなら半分か四分の一を一日一回、一週間から二週間投与すると、壊死(えし)した心筋は回復しないが、その心筋周辺はほぼ回復、壊死した部位をカバーし、心臓の動きがよくなり血圧が正常に戻ることが多い」と小川教授。

 さらにARBにはACE阻害薬と同様、心筋梗塞再発や心不全発症の予防効果もある。長期間服用するとせきなどの副作用があるACE阻害薬に対し、ARBはほとんど副作用がないという。小川教授は「ARBの難点は薬価の高さだが、救えなかった患者を救えるようになった。後は医師と患者がよく話し合って、選択すべきでしょう」。

  (熊本日日新聞2004年1月21日付夕刊)
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