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薬剤溶出ステント 再狭窄起こす細胞増殖防ぐ
 欧米では狭心症や心筋梗塞(こうそく)といった虚血性心疾患の治療に使われていた薬剤溶出ステントが、日本でも医療保険適用の医療器具として正式に承認された。

 ステントは金属製の網状のチューブ。狭くなったり、詰まったりした心臓の血管(冠動脈)を広げた後、冠動脈内に埋め込んで血流を確保する。従来は、一度広げて埋め込んだステントが再び詰まる再狭窄が多かったが、薬剤溶出ステントは、再狭窄を予防する効果が非常に高い。

 ■100人に1人もない

 薬剤溶出ステントの輸入販売は、3月末に承認された。千葉西総合病院(千葉県松戸市)では5月から約700人の患者に、このステントを使った。

 冠動脈の再狭窄は、血管が押し広げられたり、ステントを入れたことで傷ついた部分が、傷を修復しようとして細胞が増殖するために起こる。保険適用になった薬剤溶出ステントは、免疫抑制剤の一種であるシロリムスをステンレス表面に塗り、一定期間、薬剤が表面から溶け出し細胞の増殖を防ぐ。商品名は「サイファーステント」。米ジョンソン・エンド・ジョンソン社が開発、02年4月にEU、03年4月に米国で承認された。

 「再狭窄はステントを入れた後、3〜6カ月後に多い。従来、再狭窄は15〜25%あったが、新ステントはほぼゼロ。現在、3カ月を過ぎている患者は300人強で再狭窄率は0・8%。100人に1人もいない」。千葉西総合病院の三角和雄院長・心臓センター長は言う。米国での再狭窄率データも0〜5%という。

 ■局所麻酔だけ

 「現在、カテーテル(細い管)の挿入は、ほとんど手首の血管から。カテーテルの先に付いたバルーン(風船)で心臓の血管を広げ、ステントを入れるのも30分以内。局所麻酔だけですむ。手首は止血も簡単で、患者は1泊して、翌日帰宅している」と三角院長。

 同病院で、日本初のサイファーステントを入れた70歳の女性の場合、重症の狭心症で3本の冠動脈が全部詰まりかけていた。高齢で手術もできず、入院時には心機能が低下しショック状態だった。

 三角院長はカテーテルを使って従来のステントを2つ入れた。3カ月後に再狭窄が見られたが、サイファーステントが暫定的に保険適用が認められていたため、その内側を含め4カ所に入れた。現在、元気に歩き回っているという。

 これまでは、詰まった冠動脈を自分の体の血管を使って置き換えるバイパス手術が施されてきた。ただ全身麻酔で胸を開く手術のため、体への負担が大きかった。

 「バイパス手術とカテーテルの割合は、欧米で1対1、日本では1対3から4だったが、今は1対7か8。もうすぐ10人中9人がカテーテルという時代になるのではないか。3本の冠動脈のうち1〜2本が詰まっている場合、カテーテルですべてできる」。三角院長はそう話す。

 ■ロータブレーター

 人工透析患者や高血圧が長い人などは、冠動脈が石灰化しやすく、血管内部が石のように硬化。バルーンやバイパス手術もあきらめている人も少なくない。

 そんな患者には、カテーテルにダイヤモンドドリルが付いた「ロータブレーター」が威力を発揮する。米ボストン・サイエンティフィック社が開発した器具で、石灰化部分を削った後、ステントを入れることも1時間程度で可能という。

 三角院長は「ロータブレーターはまだ限られた施設でしかできないが、うちの病院では昨年だけで500件以上実施し世界一の実績がある。ステントは入れて半年持てば、後はまず再狭窄が起こることはない」と言っている。

 (熊本日日新聞2004年12月15日付夕刊)
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