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| 心臓磁気計測システム 心電図で分からぬ異常発見 |
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厚生労働省が、心臓が発する微弱な磁場を測定して心臓疾患を突き止める「心臓磁気計測システム(心磁計)」という新しい心臓検査装置を、世界で初めて承認した。心電図(心電計)検査では分からない心臓の異常を体に負担をかけず早期発見できるため、大学病院や検査センターなどで急速に普及するとみられる。
■クリアな情報
日立製作所系列の日立ハイテクノロジーズ社(東京都港区)が、国立循環器病センター(大阪府吹田市)や筑波大付属病院(茨城県つくば市)と共同研究を重ねて開発した。共同研究に参加した筑波大病院の渡辺重行・循環器内科助教授は「心磁計は、電磁場や放射線などを使った検査と異なり、体に害を与えず、短時間で非常にクリアな心臓の情報を得られる」と指摘する。
心臓の拍動リズムは、心筋を流れる電流が制御しているため、心電図検査では体表面に電極を張って、心筋から漏れ出る電流を測る。ところが臓器や骨などの電気抵抗の違いによって体表面に届くまでに弱まり、ゆがむため、心電図には多くの情報が失われた結果が映し出される。
一方、心磁計は心筋を流れる電流がつくる磁場を測定し、心臓の状態を映し出す。心臓磁場は、地磁気の約百万分の一以下と微弱だが、体内の透磁率はほぼ一定なため、ほとんどゆがまない。電気抵抗をゼロにする超電導技術を応用した高感度磁気センサーを六十四本使って多点で測定、心臓全体をカバーする。
検査は、時計や金属類を外し着衣のままシールド内のベッドに横になるだけで数分で終わる。
日本人の死因二位の心臓疾患のうち狭心症は、心臓の冠動脈が狭くなり心筋に十分な酸素が送れなくなる。酸素不足で胸の痛みなどが起こるが、血流が改善すれば症状はおさまる。しかし症状が進み、血管が完全に詰まると心筋が壊死(えし)する心筋梗塞(こうそく)に進行する。このため狭心症段階での治療開始が大切だ。
ただ狭心症段階では、安静時の心電図では異常をみつけることが難しい。渡辺助教授は狭心症の患者三十人を調べた。結果、十五人は心電図が正常だった。これに対し、心磁計では二十八人の異常が分かった。「心電図に異常が出ない人でも簡単、高率に異常を検出できれば、他に類のない検査法になり得る」。渡辺助教授は話す。
■胎児の心臓検査
心磁計は、出生前の胎児の心臓検査を可能にした。胎児は電気をほとんど通さない胎脂という脂の膜に覆われており、心電図検査は困難だ。
通常、超音波検査で調べるが、心臓の形状しかつかめず、異常が分からないこともある。ところが磁場計測は胎脂に影響されない。心磁計のセンサーを、着衣のままで母親の腹部に当てると、胎児の心臓が発する磁場を測定でき異常が分かる。
国立循環器病センターや筑波大病院と日立ハイテクノロジーズとの研究では、脈拍が突然速くなるWPW症候群や、乳児突然死症候群の原因とされる先天性QT延長症候群を胎児で確定診断した。世界初の確定診断例という。
胎児の心臓異常を確定診断できることから、薬物による胎内治療や、出生直後にペースメーカーを付ける治療なども始まった。当然、新生児の心臓検査もできる。
心臓の血管が詰まっている部位や不整脈の信号源を高い精度で推定できるため、カテーテル手術の時間短縮につながるとみられる。
(熊本日日新聞2005年1月19日付夕刊) |
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