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| 日本で発見されたグレリン 心不全や呼吸障害を改善 |
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成長ホルモンの分泌を促進するホルモン「グレリン」。日本で初めて発見されたが、このホルモンを慢性心不全や慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)の治療に使う国立循環器病センター(大阪府吹田市)の試みが成果を挙げている。食欲増進や心機能の改善など、さまざまな働きが患者の容体改善につながるという。
■左室駆出率アップ
同センターは、既存の薬物治療の効果が低く、心臓の血液拍出能力を示す左室駆出率が35%未満という重度の心不全患者10人に、3週間の間、グレリンを1日2回、体重1キロ当たり2マイクログラム点滴した。
点滴直後、全員が血中の成長ホルモンが増加。食欲も高まり、体重も平均49・6キロから50・4キロに増加した。心臓の左室の容積が増えて収縮期の容積は減り、この結果、左室駆出率が平均27%から31%にアップした。
さらに運動能力が高まった。血圧や心拍を上げる神経伝達物質「ノルアドレナリン」の血中濃度が下がり、交感神経の抑制効果も確認された。
ニューヨーク心臓協会による心機能分類が向上した患者が4人いた。同様の症状で入院し、グレリンを投与しなかった8人は、こうした改善はみられなかった。
研究を進める同センター再生医療部の永谷憲歳部長は「心機能を直接、劇的に良くするわけではない。ただ、さまざまな働きで総合的に容体を改善する。交感神経の抑制効果で、予後の改善も期待できる」と話す。
■呼吸筋を増強
COPD患者に対しても、重度の心不全患者と同様の方法で、これまで7人に投与した。すると、呼吸機能の改善や食欲の増進、筋力のアップ、体重の増加、運動能力の改善を確認した。
COPDは、長年の喫煙などで肺胞が壊れるなどして、呼吸機能が弱くなる病気。肺機能の低下と筋力の低下が予後を決めるとされ、今後も患者数の増加が予想される。
今のところ、壊れた肺胞を治す方法はない。現状で一番効果のある治療法は、リハビリによって呼吸に関与する呼吸筋を強めることだ。
グレリンはこの呼吸筋の増強に大きく貢献する。投与患者では呼気や吸気の力が上がっていることが確認された。呼吸筋にとどまらず、全身の骨格筋を強めるという。
患者の6分間歩行距離は平均370メートルが432メートルに延びた。握力も平均21・5キロが24・2キロになった。
COPDでは近く、5施設が参加した大規模な臨床試験を開始する。リハビリで入院した患者を対象にした偽薬投与との比較試験で、グレリンの効果を正確に判定する。
■各地で臨床試験
京都大の探索医療センターでは、摂食不振の患者への臨床試験を進めており、今秋終了する見通しという。さらに、高齢者の手術後の筋力回復を目的とした臨床試験にも、近く取り掛かる。
中枢性の摂食障害では、国立循環器病センターと東京女子医科大(東京都新宿区)が共同臨床試験を計画している。
海外でも研究が進み、グレリンの血中濃度の低さが、2型糖尿病の危険因子になることなどが分かった。グレリン発見者の一人で同センター研究所の寒川賢治副所長は「もともと体内にあるグレリンは、使う量さえきちんと決めれば、副作用の心配はそれほどない。生体内での機能をさらに明らかにして、いかに人の健康につなげるかを追究したい」としている。
(熊本日日新聞2005年6月22日付夕刊) |
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