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「64列CT」で心臓検査 撮影範囲広く画像も鮮明
 CT(コンピューター断層撮影装置)の性能が大幅に上がり、血管造影に代わって心臓検査にも使われている。二〇〇五年秋、米シカゴで開かれた世界最大の北米放射線学会(RSNA)には六万人が参加、多くの臨床例が報告された。

 マルチスライスCT

 CTのデビューは一九七〇年代末。当時は、エックス線照射装置が体の周りを一回転する間に断面を一枚撮影した。画像解析にも手間取り、検査結果の判明までには時間がかかった。

 その後、撮影の高速化が急速に進み、一回転する間に撮影する断面が四枚、八枚と増え、マルチスライスCTが主流に。立体画像も表示できるようになった。

 それでも鼓動を繰り返す、心臓の撮影には不向きだった。変化し始めたのは二〇〇二年の十六列CTの登場。照射装置が〇・五秒で一回転する間に十六枚撮影し、心臓の画像をかなり正確に映し出すようになった。

 〇四年には、独シーメンス、米GE、オランダ・フィリップスが、より高性能な六十四列CTを相次ぎ医療市場に投入した。

  0・35秒で1回転

 このうち最大手の米GE製のCTは〇・三五秒で照射装置が一回転する。その間に〇・六二五ミリ間隔で六十四枚の断面画像を撮影する。つまり四センチ分カバーするわけだ。

 この結果、十六列CTでは二十秒程度かかっていた心臓全体の撮影時間が、五心拍分の五秒程度で済む。心臓CT検査の普及に拍車を掛ける要因の一つになっている。

 慶応大付属病院(東京都新宿区)はGEのCT(ライトスピードVCT)を導入。放射線診断科の陣崎雅弘助手は、その臨床例から六十四列CTの評価を北米放射線学会で報告した。「一番大きな効果は、従来機に比して格段にきれいな画像が安定して得られる。心拍が速い人も検査できる」。十六列CTでみられた画像のぶれによる評価不能例がほとんどなくなったという。

 さらに広範囲を撮影できるため、心臓と血管系の同時評価が必要なバイパス手術での有用性が高まった。撮影時に使う造影剤の量も半分に減り、血管内治療を翌日に控えた患者が検査できる。

  一長一短

 撮影時間の短縮は、検査に必要な患者の息止め時間を短くした。「かつては検査前に息止めの練習を何回もした。それでも無理な人がいた。今はそういう人はいない」。昭和大藤が丘病院(横浜市)の高橋良昌・中央放射線部主任技師は話す。

 現在、心臓検査の切り札は血管造影。動脈からカテーテルを挿入し、冠動脈に造影剤を入れてエックス線撮影する。造影剤注入を静脈注射でするCTに比べ、患者の負担は大きく、危険も高い。

 一方、CTの欠点は被ばく量の多さ。高橋技師らが人体模型を使い、双方の被ばく量を比べた結果、血管造影の方が一けた少なかった。

 高橋技師は「CTに組み込まれた低減装置を使うと被ばく量はかなり減る。血管造影は装置の古さや検査法で施設間に七倍程度の差があり、双方に差がないこともありうる」と言う。

 CTは血管壁のプラークの硬軟などの性状が分かる半面、石灰化が強い血管の評価が難しいなど一長一短はある。陣崎助手は「CTは、血管造影に比べ細い血管の評価で劣ることがあるが、臨床現場で使うには十分な性能だ。特に患者のスクリーニングには効果的」としている。

  (熊本日日新聞2006年1月25日付夕刊)
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