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心房中隔欠損症の治療 「カテーテル」なら負担軽く
 心房中隔欠損症は、心臓の左右の心房を隔てる壁に生まれつき穴が開いている。国内での治療は外科手術が一般的だが、厚労省が二〇〇五年、特殊な栓を血管から挿入して穴をふさぐカテーテル治療を許可した。患者の負担が小さいため、欧米ではこの治療法が既に主流になっている。

  小児期は無症状

  岡山大付属病院の赤木禎治助教授(循環器疾患治療部)によると、心房中隔欠損症は先天性心疾患の中では心室中隔欠損症に次いで多い。大人の先天性心疾患のほぼ半数を占め、千五百人に一人程度の割合で現れる。

  自覚症状はほとんどない。学校健診で心臓の雑音を指摘されて分かることが多い。超音波検査が未普及だった時代は、成人後、職場健診で心電図の異常を指摘され判明する人が多かった。

  症状は穴の大きさなどで違う。小児期は無症状でも三十〜四十代を過ぎると急速に悪化。不整脈や弁の逆流などが起こり、心不全が徐々に進行する。

 穴から漏れた血液が肺に流れるため、肺にうっ血が起こる。全身に流れる血液量も減るため、心拍が少し増える。そんな負担が長期間続き、ある年代になると、一気に症状が噴き出す。

 症状は急速に進まない。自然に穴がふさがることもある。赤ちゃんの時に見つかっても、小学生前後まで待って治療する人も少なくない。

  長期の入院

  ただ治療は外科手術がほとんど。右心房を切り開き、特殊な布を使ったり、直接縫ったりして穴をふさぐ。心臓を一時的に止めることが不可欠だ。約三十年前、人工心肺の開発で可能になった。

 現在、ほぼ安全な手術になったが、心臓を一時的に心臓を止めるのは、やはり大がかり。人工心肺の使用に伴うトラブルや、心臓の切開による合併症を完全に防ぐことは難しい。

 入院期間は二〜三週間必要だ。子供は比較的回復が早いが、大人は日常生活に戻れるまで約一カ月かかるという。

  実施は3施設

 一方、カテーテル治療は心臓を一時的に止めなくてもいいのが最大のメリット。岡山大付属病院の場合、月曜日に入院し木曜日に退院できる。全身麻酔の下、治療時間は一時間余り。米国では日帰り手術の施設もある。

 穴をふさぐ栓は、形状記憶合金の細いワイヤを網目状の円盤型に編み込んでいる。二枚の円盤を中心の軸でつないだ形で、細く折りたためる。チューブ状のカテーテルを太ももの付け根から血管に挿入し、その中を通して心臓内に運ぶ。カテーテルの外に出ると、自動的に円盤状に広がり両側から挟んで穴をふさぐ。

 治療後一カ月程度は激しい運動を避ける。ただ日常生活はすぐに可能だ。三カ月程度たつと、栓は心臓の内膜に覆われて完全に安定する。

 円盤で挟む部分が必要なため、壁の端に寄った穴には使えないが、米国の治験では、治療が必要な合併症の発生率は外科手術を下回った。

 国内では関係学会が実施施設の基準を定めており、現在は埼玉医科大病院(埼玉県毛呂山町)、国立循環器病センター(大阪府吹田市)、岡山大付属病院の三施設が対象だ。医療保険の適用外で、自己負担は約百十万―百二十万円。赤木助教授は「欧米は既にほとんどがカテーテル治療になっている。国内でも三〜五年で主流になるだろう」とみている。

  (熊本日日新聞2006年2月8日付夕刊)
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