



|
| 急性心筋梗塞 心肺蘇生と除細動器で救命 |
 |
 |
 |
急に崩れるように倒れ込み、救急車も間に合わずに亡くなってしまう急性心筋梗塞(こうそく)。国立循環器病センター(大阪府吹田市)心臓血管内科の野々木宏部長は「救命には迅速な一一九番通報と第一発見者による心肺蘇生(そせい)法の実施や除細動器の使用が不可欠」と指摘する。
■兆候にあごの痛みも
普段から「健康」と思っている人も、スポーツ中に倒れることがある。事前に心筋梗塞の兆候はないのか。激烈な胸の痛みなら気付くが、通常、典型的な胸の痛みは70〜80%。残りは、背中やみぞおちの痛み、むかつき。まれに頭痛やあごの痛みなどの形で現れ、気付きにくい。糖尿病や脳卒中の経験者は症状が軽く、見逃されることも多いという。
野々木部長は「特に四十〜五十歳以降の男性で突然、上半身でおかしな感じ、中でも胸部の不快を感じたら、心臓発作を疑うことが大事。心筋梗塞の治療は随分よくなってきており、専門病院に入院できれば非常に成績がよい」と話す。
さらに「大人になると、だれでも動脈硬化が少しずつ進み始める。血圧が急上昇したり、たばこを吸いすぎたりすると、軽い動脈硬化でも、そこに血栓(血液の塊)ができて心筋梗塞が起こることがある」と言う。
■心臓の筋肉が壊死
急性心筋梗塞が起こるメカニズムはこうだ。
心臓の血管壁にコレステロールがたまり、血圧の変動などで血管内壁の膜が傷つく。この傷を治そうと血小板が血を固めるが、塊が大きいと血管を塞ぎ、血液がストップする。
その結果、酸素が欠乏して、心臓の筋肉が壊死(えし)するのが心筋梗塞だ。この場所に不規則な、心室細動と呼ばれる細かい収縮(重症の不整脈)が起こり、規則的な収縮ができなくなり、心臓が停止する。
この危険な不整脈は、心筋梗塞の発作から一時間以内に発生しやすい。発作を起こしたら、速やかに救急病院を受診しないといけない。野々木部長は「心室細動が起こったら、一分でも早く、そばにいる人が心肺蘇生(そせい)法をして電気的除細動ができれば、命を助けられる」と強調する。
「除細動器」は、この心室細動を取り除く。いわゆる電気ショックを与えることで細動が消え、本来の正常な拍動が戻る。
■5分では生存率半々
過去の救命活動のデータでは、心停止から一分経過するごとに死亡率が上がる。三分で脈拍が回復できれば、70%が助かる。五分では半々。救急車は除細動器を積んでいるが、日本では通報から到着まで平均六分かかる。しかも除細動器は、医師法によって医師の指示があって初めて救急隊員が扱える。
ところが、現在は素人でも扱える家庭用の手軽な自動除細動器もある。米国ではスポーツ施設や空港といった、多数の人が集まる公共の場所には除細動器の設置が義務づけられている。実際に一般の人の協力で、助かった患者も少なくない。
昨年末、日本循環器学会は厚生労働省に、誰でも除細動器を扱えるよう法改正を提言した。その一方で心肺蘇生法を普及するための委員会も設置し、積極的に活動している。野々木部長は「救命率アップには、まずそばにいる第一発見者が心肺蘇生法をし、除細動器を扱えるようにする必要がある」と言っている。
(熊本日日新聞2003年3月18日付夕刊) |
|
 |
 |
 |
|
|