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日本発の温熱療法 小型サウナ、心疾患に効果
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小型サウナを使った温熱療法(サウナ療法)を、鹿児島大病院の鄭忠和循環器・呼吸器・代謝内科教授が開発した。1989年から慢性心不全の治療などに実績を重ね、全国の大学病院などに広がっている。日本心臓病学会が来年9月に鹿児島市で開かれるため、鄭教授は「症例を増やし、温熱療法を日本発の新たな治療法として世界に発信したい」と話している。
心疾患の治療は、ウオーキングや軽スポーツといった心負担を増す方法が一般的だ。ただ交感神経が緊張するため、重症の不整脈患者などにはむしろ危ない。「その点、温熱療法は心臓の負荷を減らすので、軽症患者はもとより中等症以上の患者にも適している」。鄭教授は説明する。
温熱療法は風呂とサウナがある。このうち風呂は、首まで湯船につかると水圧がかかり心臓に戻る血流が増え、心臓に負担がかかってしまう。サウナは水圧がないため負担がかからず、室内温度と入浴時間を厳重に管理すると安全になる。
鄭教授は遠赤外線乾式のサウナを使う。患者は室温60度のサウナに15分入る。入浴後、バスタオルや薄い毛布をかけてベッドで30分間安静にする。その後、発汗で失った水分を補う。これを1日1回、週3回―5回繰り返す。
「60度のサウナに15分入ると、体温は1度上がる。毛穴が開いているので安静中も発汗し、全身の血管が拡張して血管の抵抗が下がる。その結果、心臓の血液拍出量が増加して心機能が改善する」と鄭教授。ただ床と天井の温度差が20度を超える室温を、60度に均一化するサウナ室の開発がネックになった。
3年がかりでイスに座る個室の小型サウナを開発し、室温の均一化に成功。家庭用電源でも使え持ち運びもできる。費用は約200万円。
温熱療法は、拡張型心筋症や虚血性心筋症、動脈硬化、閉塞(へいそく)性動脈硬化症(ASO)など循環器系疾患をはじめ、軽症うつ病、原因不明の慢性疲労症候群(CFS)や疼(とう)痛、関節痛などに用いている。
例えばASO。左の大腿(たい)動脈が完全に詰まっていた女性(79)は、治療10週間で血管が新生した。痛みも消え、6分間の歩行距離が100メートルから200メートルに延びた。残っていた片足の切断も迫られていた男性(70)は治療10週間で切断を免れた。鄭教授がまとめた12人の症例で痛みは平均で半減。激痛が消えた例もある。
現在、東京女子医大病院、榊原記念病院、北里大病院、京都大病院、大阪市立大病院、徳島大病院、山口大病院、熊本大病院が温熱療法を採り入れ、循環器系疾患や心身症などの治療に役立てている。反応は「全身を温める気持ちのいい汗がかけて睡眠改善や食欲増進、通便改善に効果がある」(鄭教授)という。
鄭教授は、温熱療法の効果は、血管拡張作用がある一酸化窒素を合成する血管内皮細胞の酵素の働きとみている。動物実験では、心不全を起こしたハムスターに温熱療法を施したところ約3週間延命。心不全の進行に伴い減少する酵素が増えていた。また人工的にASOにしたマウスも酵素が増えて脚の血流が改善した。
「温熱療法は、血管拡張だけでなく、自律神経やホルモン分泌のバランス回復、リラックスなど、多様な効果が複合している。しかも副作用はない。手術や薬物療法などに並ぶ療法になる」。そう話す鄭教授は厚労省に対し、温熱療法を「先進医療」として既に承認申請。保険適用にして、さらなる普及を考えている。
(熊本日日新聞2005年9月7日付「夕刊メディカル」) |
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