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| 糖尿病性腎症 拡張作用で血圧低下 |
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高血圧治療薬の一つ「ロサルタンカリウム」(商品名ニューロタン)が、高血圧とタンパク尿を伴った2型糖尿病患者に対する糖尿病性腎症の治療薬として国内で初めて承認された。日本人も参加した国際共同臨床試験の結果を基にした初の承認例だが、薬剤承認に関する今後の厚生労働省の方針に影響を与えるとみられる。
ニューロタンは世界初のARB(アンジオテンシンU受容体拮抗(きっこう)薬)と呼ばれる新しいタイプの降圧薬で、米メルク社が1994年に開発した。血圧を上昇させるホルモンの働きを妨げる。腎症は、網膜症や神経障害とともに糖尿病の三大合併症の一つ。糖尿病患者が増えるとともに、腎症患者も増え続けている。
■透析か腎移植
腎臓は糸球体という部分で血液を浄化し、不必要な水分などを排出する尿をつくる。糖尿病患者は、糸球体に血液を送る輸入細動脈が広がるため血液の流れ込む量が増えて高血圧になり、組織が傷つけられる。進行すると末期腎不全になり、透析か腎移植を迫られる。
透析に移行する患者は1983年は年間1万人ほどだった。しかし2004年は3万5000人を超えた。移行原因は98年までは慢性糸球体腎炎がトップだったが、99年に腎症と逆転。04年は腎症が41・3%に達した。ところが治療は、血糖コントロールと厳格な血圧管理(130/80mmHg未満)が原則だ。
一方、ニューロタンには降圧作用だけでなく、糸球体から血液を送り出す輸出細動脈も拡張する作用もあるため、結果として糸球体内の血圧を下げる。この腎保護作用は、腎症を合併した2型糖尿病患者1513人が参加した国際共同臨床試験で分かった。試験には28カ国の250施設が協力、ニューロタンと偽薬を二重盲検比較した。日本からも36施設、96人が組み入れられた。試験期間は1996年4月から2001年2月の約5年間。
■リスク28%抑制
この結果、偽薬よりもニューロタンは透析や腎移植への移行リスクを28%抑制、糸球体の傷つき具合を反映する尿たんぱくや心不全による入院も有意に減らした。これらの大半は降圧効果とは独立して作用した。ただ高血圧とタンパク尿(尿中アルブミン/クレアチニン比300mm/g以上)を合併しない患者では有効性と安全性は確認されていない。
データは米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」が01年9月に掲載。FDA(米国食品医薬品局)は02年9月に承認、厚労省には02年4月に申請されていた。
新薬の開発は、巨額の経費と年月がかかるため、多彩な人種を入れた国際共同臨床試験が、欧米の製薬会社を中心に計画されている。ただ薬剤の承認に際し、厚労省は海外の臨床試験で得られたデータの一部を用いることは認めているが、日本人のみのデータ重視が基本。その結果として新薬の発売や、既存薬の新しい病気への適応が、欧米に比べて遅れている。
このため国内の製薬会社も、海外発売を先行させるケースが増えている。ニューロタンの試験で日本の責任者だった黒川清・日本学術会議会長は「今後は国際共同試験に積極的に参加すべきだ」と指摘している。
(熊本日日新聞2006年7月5日付夕刊メディカル) |
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