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内臓脂肪 ためると危険 動脈硬化のリスク急増
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という言葉をよく聞くようになった。放置すると動脈硬化症になるリスクが30倍以上も増すという。なぜそうなるのか。最近の研究で、内臓脂肪から分泌され動脈硬化を防ぐ特定のタンパク質が減少することが分かってきた。
腹囲85センチを超えた男性のおなか部分の断層写真。朱色に染めた部分が内臓脂肪(熊本医療センター提供)
メタボリックシンドローム
内臓に蓄積した脂肪が一因となって高脂血、高血圧、高血糖などを重複して発症した状態を指す新しい疾患概念。放置すると脳卒中、心筋梗塞(こうそく)、糖尿病などに進行する危険性が高まる。厚生労働省の調査では、成人の有病者は約1300万人で、40〜74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人が有病者か予備軍に該当していた。
脂肪は、皮膚の内側に付く皮下脂肪と、内臓の周囲に蓄積する内臓脂肪に分けられる。皮膚とともにつまめるのは皮下脂肪だが、内臓脂肪は、見ただけでは分かりにくいこともある。「隠れ肥満」の一因でもある。
日本内科医学会は、内臓脂肪の蓄積をメタボリックシンドローム診断の最重要項目にしている。内臓脂肪のたまり具合を知るには、腹囲(へそ周り)を計るだけでいい。男性は85センチ以上、女性は同90センチ以上ならば要注意。この値を超すと、動脈硬化症や糖尿病など過栄養性の疾患になる人の割合が急に増える。
「動脈硬化症は心臓病や脳卒中など重い病気の原因になる。日本人が最も注意しなければいけない病気のひとつ」。国立病院機構熊本医療センター(旧国立熊本病院)内科部長の東輝一朗医師は注意を促す。日本人の死因で心臓病は2番目、脳卒中は3番目に多い。
内臓脂肪がたまると、どうして動脈硬化症になるのか。最近、詳しい理由が分かってきた。
「脂肪細胞はエネルギーを蓄えるだけでなく、さまざまな物質を分泌している。その分泌物質の種類や量が血管に影響している」と東医師。
内臓脂肪は、タンパク質の一種で生理活性物質の「アディポネクチン」を分泌している。この「アディポネクチン」は、白血球の一種・単球が血管内壁に張り付き動脈を硬化させるのを防止するほか、血糖値を下げるインスリンの働きを良くして糖尿病も防ぐ。
だが、内臓脂肪はたまり過ぎると、アディポネクチンをあまり分泌しない。逆に、インスリンの働きを邪魔したり、高血圧を進める別の悪玉物質を多く出してくる。
だから「動脈硬化症の予防には、内臓脂肪を蓄積しすぎないことがとても大切」(東医師)だ。
適正な摂取カロリーの求め方
身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
身長175cmの場合、
1.75×1.75×22=67.375kg→67.5kg
標準体重(kg)×基準熱量(kcal)=適正カロリー(kcal)
基準熱量は生活活動の強度で異なる
事務職:25〜30
中程度の労働:30〜35
重労働:35〜40
たまった内臓脂肪を減らすには食事療法が有効だ。同センターの浅井和子栄養管理室長は「まずは適正なカロリー摂取量を知り、それをきちんと守ること」と助言する。
一日の適正カロリーは身長から計算できる(計算式参照)。これに、軽い運動を加えると効果が増す。また内臓脂肪は腸や肝臓近くにあり分解されやすい。つまり減りやすい。浅井室長は「1カ月で1キロ減が目安」という。
食事コントロールのため、ご飯を食べない人も多いが、浅井室長は「これは逆効果」という。
ご飯に多く含まれるでんぷん質は、ゆっくりと消化されるので満腹感が長続きする。そのご飯を抜くと、すぐにおなかが減ってしまう。浅井室長は「イライラしたり、おやつを食べることにつながる。また、脂肪を燃やすには炭水化物が必要。1食あたりご飯100グラム、おにぎり1個ぐらいは食べてほしい」という。
食事の時間が不規則だったり、空腹感がつらい場合は間食を上手に利用するのも悪くない。おにぎりやサンドイッチなどの炭水化物がいい。ただ、適正カロリーを超えないように、三食の量を加減することが必要だ。(梅野智博)
(熊本日日新聞2006年6月21日付朝刊くらし面)
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