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高齢者の歯 根元ケアを フッ素塗布予防に効果
 健康な老後を過ごすためにも、いつまでも丈夫な歯を保ちたい。ところが、高齢になるほど歯ぐきが減退して虫歯になりやすい。薬を長く服用している人は唾液(だえき)が減っていることもあり、虫歯になるリスクを高めている。
 
歯の健康を守るため、歯のメンテナンスを受ける男性=熊本市水前寺、松永歯科医院
 「歯根(しこん)部の露出と唾液の減少。この2点には特に注意してほしい」。県歯科医師会学術委員長の松永久歯科医師(熊本市)は来院するお年寄りに、そう呼びかける。

 健康な人の歯根は歯ぐきの中に埋もれている。しかし、歯周病などで歯ぐきが減退すると、しだいにむき出しになる。歯根は、細菌などから歯を守るエナメル質に覆われていない。丁寧にケアしないと、すぐに虫歯になる。

 「歯根にできた虫歯は治療がとってもやっかい」と松永歯科医師。歯根部分は細いので、虫歯が神経に達しやすい。厚いエナメル質に覆われている歯の部分なら軽い処置で済む虫歯でも、歯根だと神経を抜かなければならないこともある。

 歯根の虫歯の中でも歯ぐきに埋もれている虫歯は、さらに治療がやっかいだ。歯と歯ぐきのすき間は高齢者によく見られるが、そこに入り込んだ細菌が、歯ぐきの深い部分に虫歯をつくる。こうなると虫歯を治療する前に、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)を削ったり歯ぐきを整形しなければならない。

 「ちょっとした手術になる。こうなると患者さんの体の負担も大きい」と松永歯科医師。

 予防にはフッ素塗布が有効だ。歯の表面を、酸に強い性質につくり変えるからだ。ただ、高齢者はフッ素入りの水でうがいをすると誤飲する可能性もあり、歯科医院で塗布してもらうのがいいという。

 毎日の歯磨きも予防には欠かせない。松永歯科医師が薦めるのが「バス法」。歯ブラシを歯の付け根に当てて小刻みに動かす。歯磨き剤は付けすぎないこと。鏡を見ながら磨くと歯根を意識しやすい。歯のすき間は磨き残しが多いので歯間ブラシがいい。ただ、すき間に応じた太さのブラシを選ぶこと。太すぎると歯ぐきを痛めて減退を早めることもある。

 高齢者特有の医療ニーズにこたえようと、首都圏では最近、老年歯科を併設する歯科医院が増えている。北九州市の九州歯科大は本年度から「高齢者歯科学」の授業をスタートさせた。

 同大学の柿木保明教授(摂食機能リハビリテーション学)は、高齢者を治療する時には虫歯以外の持病も確認する。降圧剤、精神安定剤、睡眠薬などを長期間服用すると、唾液を減少させることがあるからだ。

 唾液は、食事で酸性に傾いた歯の表面を中性に戻す。さらに歯の脱灰(溶ける)を防止して、再石灰化を促進させる。

 柿木教授によると、薬の服用で唾液が半減したり、ほとんど出ない人もいる。唾液の量を正常に戻すために漢方薬を処方したり、医師に必要性の低い薬の処方を中止してもらうこともある。 (梅野智博)

  (熊本日日新聞2006年5月24日付朝刊)
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