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よくかむほど元気で長生き 口を清潔に、食べ方も工夫を
 よくかんで食事をする高齢者ほど、元気に長生きできる。こんな興味深い実態を、日本大学松戸歯学部の那須郁夫准教授が大規模な全国縦断調査で確かめた。そしゃく能力の維持は健康のもと、といえる。毎日の食事でしゃきしゃきかむことは、高齢者の介護予防の指針になりそうだ。

 那須さんは、全国の高齢者(六十五歳以上)約五千人の健康や生活を一九九九年から調査している日大の研究(代表・斎藤安彦教授)に参加。普段の食事でかみ切れる食品の種類を聞き、硬い順に各人のそしゃく能力を5から1まで分類した。

▽そしゃく力大事

 この調査で、さきいかやたくあんをかみ切ることができ、そしゃく能力が最も高い5とされた人の割合は70%に達した。高齢者は入れ歯などを活用して、家族や仲間と一緒に、しゃきしゃきと食べる機能をよく保っていることが分かった。

 さらに同じ高齢者を二〇〇一年、〇三年に追跡調査し、そしゃく能力5の「よくかめる人」と、4以下の「かめない人」に分け、平均余命と、自立して元気に生きられる健康余命を解析した。

 よくかめる人は多少、平均余命が長かったが、大差はなかった。これに対し、健康余命は、よくかめる人が、かめない人より二、三年長かった。この傾向は男女ともはっきりしており、那須さんは「そしゃく機能が健康余命を延ばす効果的手段になる」と結論づけた。

▽「軽視しがち」

 同じ調査で目や耳、口の働きと健康感の関連を聞いた。人は視力や聴力の衰えに敏感だったが、そしゃく能力3までの低下には不自由と感じていなかった。ご飯がやっと食べられるそしゃく能力2以下で、不健康と実感するようになっていた。

 「食べることは健康の根本なのに、つい軽視しがちだ。自分の歯を失っても、入れ歯などで補って、そしゃく能力を保つことが大事だ。そしゃく機能が下がれば、健康全体に響くことを知ってほしい」と那須さん。

 よくかめなくなると、軟らかい食品が中心になり、種類も制限して栄養摂取が悪化する。口を動かす筋肉の力が弱まり、食欲低下も加わり、一層かめなくなる。この悪循環を断つためには、そしゃく機能の衰えに早く気付き、歯応えのある食事と十分な栄養摂取、適切な運動などで相乗効果を狙うのが望ましい。

▽歯科医で検診を

 口の働きの低下はどう判定するのか。那須さんは「もごもご」と硬いものをかめない、「ごほごほ」と突然むせる、「からから」に口が渇く―を黄信号とみる。このうち一つでもあれば、機能アップを開始するとよい。

 いつまでもしゃきしゃき食べられるようにするには、口を清潔にし、入れ歯をよく手入れして、定期的に歯科医に診てもらうことも必要だ。

 口も使わないと退化する。那須さんは食べ方に工夫を勧める。「ぱくぱく」と食欲のわく多様な物を食べ、「もぐもぐ」と口を閉じてしっかりかみ、「ごっくん」とのみ込む。この三つが食事ですぐできる「元気に長生きする方法」という。

(熊本日日新聞2007年12月1日付朝刊)
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