



|
| 虫歯、歯周病 子育てママは高リスク 乳児に菌感染も |
 |
 |
 |
妊娠したり子育て中の母親は、虫歯や歯周病になりやすいといわれる。ホルモンバランスの変化や、口のケアがおろそかになることが原因だ。口の中で増えた病原菌が、乳幼児に感染するケースもある。母親が来院しやすいようにと保育室を設ける歯科医院が、県内でも徐々に増えている。
|
| 託児室で子供の世話をする保育士=熊本市のピュアデンタルクリニック |
熊本市の公務員A子さんは妊娠の後、虫歯が急に悪化した。「妊娠5、6週目からつわりがひどくなった。歯を磨けない日が続いて、ごく軽かったはずの虫歯が徐々に痛み出した。治療を受けたかったけど、上の子どもの世話があるので通院できない。我慢するしかなかった」
熊本市新大江のピュアデンタルクリニックは今年7月、院内に保育ルームを設置。専任の保育士を配置するなど、母親の治療に力を入れている。
同院の菅鉢孝治院長は「妊娠や子育て中の女性は、歯周病や虫歯になるリスクがとても高い。用心する必要があるのに、子どもの世話に追われ、自分の治療やケアができない人が少なくない。歯茎が腫れて出血する人も多い」と話す。
妊婦中に歯を悪くする女性が多いのは、よく知られている事実だ。一般的に「赤ちゃんにカルシウム成分を奪われるから」とも言われるが、菅鉢院長は「その通説に科学的な証拠はない」と否定的だ。
菅鉢院長によると、妊娠すると女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の分泌量が増え、歯茎が腫れやすくなる。その腫れは「妊娠性歯肉炎」と呼ばれ、放置すれば出血したり発熱することもある。治療には痛み止めや抗生剤を使うが、妊娠初期には薬が使えないので、小まめに消毒するしかない。
出産後も大変だ。ミルクや離乳食の味見などで食べ物を口にする機会が増え、口の中は酸性に傾きやすい。傷んだ歯を治療したくても、乳幼児を抱いたままでは通院しづらい。
「以前に治療した金属の詰めものが外れても放置したままで、虫歯が広がって、痛みに耐えられなくなってから来院する女性は少なくない」と菅鉢院長。子どもの歯の治療に付き添う母親を見掛けると「むしろお母さんの方が心配になる」という。
母親の口の健康状態は、子どもの虫歯予防にも影響する。日本小児歯科学会は「母親の虫歯菌は赤ちゃんに伝播(でんぱ)することがある。母親は虫歯を早く治療する必要がある」と注意を促す。
生まれたばかりの子の口の中に虫歯菌はいない。「親のはしやスプーンで食事を与えたり、ミルクの温度を確認するためにほ乳瓶を吸ってみたりすることで、親から子へ感染する」と菅鉢院長。
乳歯がはえはじめる生後6カ月から3歳までが、感染のピークという。菅鉢院長は「歯磨きや歯科診療所のメンテナンスなどで口の中を健康に保てば、虫歯菌の親子感染は防止できる。妊娠の前に歯の治療をきちんとすませることも大切だ」と話している。(梅野智博)
(熊本日日新聞2006年11月22日付朝刊くらし面)
|
|
 |
 |
 |
|
|